2. 適用拡大によるメリット

厚生年金の適用拡大の主なメリットは次の2つです。各メリットについて解説します。

  • 将来もらえる年金額が増える
  • 労働時間の制限がなくなる

2.1 メリット1:将来もらえる年金額が増える

配偶者の扶養で国民年金第3号被保険者に加入している人は、保険料の負担がない代わりに受給できる年金は老齢基礎年金だけです。

厚生年金に加入すれば、老齢基礎年金に加え老齢厚生年金も受給できます。

老齢厚生年金の年金額(加算を除く)は、次の通り計算します。

  • 老齢厚生年金=平均標準報酬額×5.481/1000×厚生年金加入月数

厚生年金加入中の報酬(交通費を含む、賞与なし)が毎月8万8000円の場合、平均標準報酬額も8万8000円です。この場合、厚生年金加入期間による老齢厚生年金額は次の通りです。

月収8万8000円の人の老齢厚生年金額

月収8万8000円の人の老齢厚生年金額

筆者計算・作成

  • 10年:約5万8000円
  • 20年:約11万6000円
  • 30年:約17万4000円
  • 40年:約23万2000円

受給額が年間10万円増えると、65歳から85歳まで受給する年金は総額で200万円増えます。人生100歳時代に備えて、年金額を増やすことは有効な対策です。