1.2 対象となる短時間労働者
適用拡大の対象となる短時間労働者とは、次の要件をすべて満たす人です。
- 1週間の所定労働時間が20時間以上
- 賃金の月額が8万8000円以上
- 雇用期間が2ヶ月以上見込まれる
- 学生でないこと
所定労働時間や賃金月額は、雇用契約時に定めた労働時間や賃金のことです。残業時間や残業代は含まれません。
1.3 対象となる事業所
前述の条件を満たした短時間労働者すべてに厚生年金加入義務が生じるわけではありません。
一定規模の企業(正確には事業所単位)に勤務する従業員が対象です。対象となる企業規模は次の通り拡大してきました。
- 2016年10月~:従業員数501人以上
- 2022年10月~:従業員数101人以上
- 2024年10月~:従業員数51人以上
従業員数は、「フルタイムで勤務する人」と「1週間または1ヶ月の所定労働時間がフルタイムの人の3/4以上の人」の合計人数です。従来基準での厚生年金加入者数と同数です。
中小企業の負担を軽減するために企業規模の要件を設けていますが、短時間労働者の社会保障充実に向け、企業規模の要件を撤廃する方向で検討が進んでいます。
ここまで、厚生年金の適用拡大の概要について解説してきました。
適用拡大によって扶養内で働いていた人は、社会保険料の負担が発生し、手取り収入が減ってしまうこともあります。
そのため、デメリットだらけだという声も聞かれますが、次章では適用拡大のメリットを紹介します。