3. 所得1000万超世帯の貯蓄状況

さらに、所得1000万円を超える世帯の貯蓄状況について見ていきます。金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」によると、世帯年収1000万円以上の世帯の平均貯蓄額と中央値は下記のようになっています。

世帯年収別・貯蓄額平均と中央値

世帯年収別・貯蓄額平均と中央値

出所:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年以降)」の調査データを元に筆者作成(単位は万円、金融資産の非保有層は含まない)

  • 世帯年収1000万〜1200万世帯:平均貯蓄額2719万円、中央値1650万円
  • 世帯年収1200万以上世帯:平均貯蓄額4327万円、中央値1950万円

全国の総世帯の平均貯蓄額が約1758万円、中央値が715万円となっており、年収1000万円超世帯では貯蓄水準もかなり高額であることがわかります。

ただし、平均値と中央値には大きな乖離があり、一部の世帯が高額な貯蓄を持っていることが推測されるため、1000万円超世帯の中でも、実際の貯蓄額には大きな格差があると考えられます。

例えば、年収が1000万円を超えていたとしても、子供の人数や生活スタイルなどにより、貯蓄をすることが難しい世帯も存在します。

一概に統計結果の数値だけで自分と比較をせずに、自身の生活スタイルや今後の生活設計を考えた上で、世帯年収の目標や貯蓄の計画を立てることが重要です。

4. おわりに

所得1000万円を超える世帯は、現在は上位層とされる分類ですが決して珍しい訳ではありません。共働き世帯の増加などにより、今後もこの割合は緩やかに増えていく可能性があります。

しかし、たとえ世帯年収が1000万を超えていたとしても、生活スタイルや支出管理、将来への備えなど、世帯ごとの生活設計により貯蓄額には大きな差が発生します。

単に世帯収入を高くすることだけを目標とせず、自身の支出や将来に必要なだけの収入と貯蓄が得られるような、バランスの取れた資産形成や生活設計が重要です。

ファイナンシャルプランナーなど専門家の手も借りることを検討しながら、自身の収入を適切に把握して、ライフプランに合った資産形成をしていくことで、より実りある生活を目指しましょう。

参考資料

斎藤 彩菜