近年、雇用環境の変化や物価の上昇などにより、将来への経済的な不安を抱える人が多く見られるようになりました。

内閣府による「令和5年 国民生活に関する世論調査」の結果によると、日頃の生活の中で、悩みや不安を「感じている」、「どちらかといえば感じている」と答えた人(2335人)に、悩みや不安を感じているのはどのようなことか聞いたところ、「収入や資産の見通し」を挙げた率は59.8%と、半数以上となっています。

【写真全5枚/1枚目】悩みや不安の内容。2枚目は年収ごとの分布をグラフで紹介1/5

悩みや不安の内容

出所:内閣府「国民生活に関する世論調査(令和5年11月調査)」

そんな中、自身の年収が周囲と比較してどの程度の水準なのか、世帯年収の分布や貯蓄事情への関心も高くなっているのではないでしょうか。

本記事では「所得1000万円超」の割合を中心に、共働き世帯の割合や貯蓄事情について解説していきます。自身の状況と照らし合わせて、ぜひ参考にしてください。

1. 給与所得者の年収の現状

まずは国税庁による「民間給与実態統計調査」結果をもとに、給与所得者の年収の現状を見ていきます。

1.1 年収の分布

統計による、2023年の年収ごとの分布は下記の通りとなっています。

  • 100万円以下:8.1%
  • 100万円〜200万円:12.3%
  • 200万円〜300万円:14.0%
  • 300万円〜400万円:16.3%
  • 400万円〜500万円:15.4%
  • 500万円〜600万円:10.8%
  • 600万円〜700万円:7.1%
  • 700万円〜800万円:4.9%
  • 800万円〜900万円:3.2%
  • 900万円〜1000万円:2.3%
  • 1000万円超:5.5%

2023年・年収別の割合2/5

2023年・年収別の割合

出所:国税庁「令和5年 民間給与実態統計調査結果」を元に筆者作成(単位は%)

1.2 所得1000万円超の割合

統計結果によると、2023年の給与所得者のうち、年間所得が1000万円を超える割合は5.5%です。

つまり、年間所得が1000万円を超えている人が給与所得者の中でおよそ18人に1人いるということになります。このことから、個人で所得1000万を超える人口の割合が、かなりの上位層であることがわかります。

※この統計は給与所得者に限定されているため、個人事業者や不動産所得がある人などを含めた場合の結果とは相違があります。

2. 世帯で1000万超はどのくらいいる?

次に、「2023(令和5)年国民生活基礎調査の概況」結果をもとに、世帯で1000万超の割合を見ていきます。

2.1 世帯年収の分布

統計結果によると、2022年1月から12月の世帯の合計所得金額の分布は以下のようになっています。

所得金額階級別の世帯数割合3/5

所得金額階級別の世帯数割合

出所:厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」

  • 300万円未満:36%
  • 300万円〜500万円未満:23.6%
  • 500万円〜700万円未満:14.9%
  • 700万円〜1000万円未満:14.1%
  • 1000万円以上:11.6%

平均所得金額:524万2000円
中央値:405万円

所得1000万円以上の世帯はおよそ10世帯に1つという結果となっており、この分布からも個人ではなく世帯単位であっても、所得1000万円は少数で上位層に属していることがわかります。

2.2 共働き世帯と年収の関係

次に、所得1000万を超える世帯のうち、どれだけの世帯が共働きであるかを見ていきます。

総務省の家計調査のデータによると、2023年において所得1000万円超の世帯の共働き率は68.0~73.4%となっており、半数を大きく超える割合の世帯が共働きをしていることがわかります。

世帯年収別・世帯主配偶者の有業率4/5

世帯年収別・世帯主配偶者の有業率

出所:総務省統計局「2023年 家計調査報告(家計収支編)」を元に筆者作成(単位は%)

共働き世帯の割合は近年増加の傾向にあり、その影響により世帯年収が1000万円を超える世帯も増えていると考えられます。

所得1000万超の割合が、個人単位では5.5%であったのに対して、世帯単位では11.6%であったことも、共働き世帯の増加による世帯年収水準の上昇を表しているのではないでしょうか。

3. 所得1000万超世帯の貯蓄状況

さらに、所得1000万円を超える世帯の貯蓄状況について見ていきます。金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」によると、世帯年収1000万円以上の世帯の平均貯蓄額と中央値は下記のようになっています。

世帯年収別・貯蓄額平均と中央値5/5

世帯年収別・貯蓄額平均と中央値

出所:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年以降)」の調査データを元に筆者作成(単位は万円、金融資産の非保有層は含まない)

  • 世帯年収1000万〜1200万世帯:平均貯蓄額2719万円、中央値1650万円
  • 世帯年収1200万以上世帯:平均貯蓄額4327万円、中央値1950万円

全国の総世帯の平均貯蓄額が約1758万円、中央値が715万円となっており、年収1000万円超世帯では貯蓄水準もかなり高額であることがわかります。

ただし、平均値と中央値には大きな乖離があり、一部の世帯が高額な貯蓄を持っていることが推測されるため、1000万円超世帯の中でも、実際の貯蓄額には大きな格差があると考えられます。

例えば、年収が1000万円を超えていたとしても、子供の人数や生活スタイルなどにより、貯蓄をすることが難しい世帯も存在します。

一概に統計結果の数値だけで自分と比較をせずに、自身の生活スタイルや今後の生活設計を考えた上で、世帯年収の目標や貯蓄の計画を立てることが重要です。

4. おわりに

所得1000万円を超える世帯は、現在は上位層とされる分類ですが決して珍しい訳ではありません。共働き世帯の増加などにより、今後もこの割合は緩やかに増えていく可能性があります。

しかし、たとえ世帯年収が1000万を超えていたとしても、生活スタイルや支出管理、将来への備えなど、世帯ごとの生活設計により貯蓄額には大きな差が発生します。

単に世帯収入を高くすることだけを目標とせず、自身の支出や将来に必要なだけの収入と貯蓄が得られるような、バランスの取れた資産形成や生活設計が重要です。

ファイナンシャルプランナーなど専門家の手も借りることを検討しながら、自身の収入を適切に把握して、ライフプランに合った資産形成をしていくことで、より実りある生活を目指しましょう。

参考資料