4. 老後資金を準備するための3STEP
今回は、70歳代・二人以上世帯で「貯蓄3000万円以上を保有する世帯の割合」や、今のシニア世代が受け取る年金額のデータを確認してきました。
貯蓄については、約2割の世帯が3000万円以上を貯めている一方、中央値は700万と楽観視できる老後資金ではないことも見えてきました。公的年金も、現在の水準が将来維持されるかはわかりません。
冒頭でも触れた「人生100年時代」「超長寿社会」に老後を迎える私たちは、親以上の世代とはかなり状況が異なる社会を生き抜いていかなければならなそうです。将来を見据えて丁寧な老後の準備を進めていく必要があるのではないでしょうか。
厚生労働省は9月17日に「百歳高齢者表彰の対象者は47,888人」としてプレスリリースを発表しました。
その中で、住民基本台帳に基づく100歳以上の高齢者の総数は9万5119人となっています。
さらに男女比を見てみると、約88%が女性となっており、特に女性にとっては長生きへの備えは待ったなしといえるのではないでしょうか。
FPである筆者のもとにも、老後資金を準備したいという女性の相談は非常に多いです。
それでは、老後資金を準備していく上で、どのようなことに気を付けていけば良いのでしょうか。大きく分けると以下の3つがポイントになります。
- 目的・目標の明確化
- 目的に合った運用手段を選ぶ
- 投資の原則を守る
1については、将来どのような生活が送りたいのか、そこから老後の生活費を逆算し、年金収入で足りない分があれば、それが「準備すべき老後資金」になります。
2については、現在NISAやiDeCoなど多様な資産運用手段があります。それぞれの特徴やリスクも踏まえて、自分に合ったものをうまく組み合わせていきましょう。
3については、いわゆる「長期(なるべく長く)」「積立(コツコツ)」「分散(幅広く)」です。この中では、特に「長期」で継続することが最も重要で、最も難しいと筆者は感じています。
理由は様々ですが、どうしても運用には値動きがあります。増えたらどうしても売却したくなりますし、減っても怖くなってやめたくなります。中には健康問題から収入が減少し、運用どころではなくなる方もいらっしゃいます。
ご自身の資産運用を長く続けていくためにも、長期投資への理解と健康管理は、老後の資産運用の両輪となるのではないでしょうか。
4.1 【ご参考】70歳代・二人以上世帯の貯蓄額一覧表(金融資産を保有していない世帯を含む)
- 金融資産非保有:19.2%
- 100万円未満:5.6%
- 100~200万円未満:5.1%
- 200~300万円未満:4.3%
- 300~400万円未満:4.7%
- 400~500万円未満:2.5%
- 500~700万円未満:6.2%
- 700~1000万円未満:5.8%
- 1000~1500万円未満:10.2%
- 1500~2000万円未満:6.6%
- 2000~3000万円未満:7.4%
- 3000万円以上:19.7%