2019年に話題となった「老後2000万問題」からはや4年。
近年の物価上昇から「老後4000万問題」とささやかれるいま、やはり老後の収入源となる「年金」に対しての相談は後を絶ちません。
年金問題については、さまざまな要因が組み合わさって起きている複合的な問題と言われています。
少子高齢化や年金原資の利回りの低下が主に挙げられますが、総じて支給額の減額の可能性が高いという点は理解されている方も多いでしょう。
今回は、シニア世代の年金生活の実態について厚生労働省のデータを基に紐解いていきます。
あくまで現行制度にはなりますが、実際年金がどのくらいもらえるのか、今後の参考にしてみましょう。
1. 国民年金と厚生年金の違いは?公的年金制度の仕組みを解説
まずは、日本の公的年金制度の仕組みについて解説します。
日本の公的年金は「国民年金」と「厚生年金」の2種類があり、これらは2階建て構造となっています。
1.1 国民年金(1階部分)
国民年金は、20歳から60歳までの日本に住む全員が加入するものです。
保険料は一律で、2024年度の保険料額は「月額1万6980円」となっています。
年金額は納付期間に依存し、40年未納なく納めると、2024年度の満額で月額6万8000円が受け取れます。
この国民年金は働き方によって、下記3つのタイプに分類されます。
- 第1号被保険者:学生や自営業の方々
- 第2号被保険者:会社員や公務員の人たち
- 第3号被保険者:第2号被保険者に扶養されている配偶者
第1号被保険者は自分で保険料を払う必要があります。
一方で、第2号と第3号被保険者は、基本的には自分で払う必要はなく、第2号の方が入る厚生年金制度がカバーしてくれます。
1.2 厚生年金(2階部分)
厚生年金は、会社員や公務員などが加入対象で、国民年金に上乗せして加入するものです。
保険料は給与に応じて変動し、収入が高いほど保険料も高くなりますが、上限はあります。
給付額は、現役時の年収や加入期間によって、もらえる額が変わってきます。
では実際、老後にどれくらいの年金をもらえるのでしょうか。
次章では、厚生労働省の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を参考に、国民年金と厚生年金(国民年金も含む)の平均月額を見ていきましょう。