4. 民間企業と公務員、どちらの方が収入が多い?平均給与と退職金を比較
民間企業の業種別給与も含めて、民間企業と公務員の収入を比較してみましょう。
〈国家公務員〉
- 平均給与:41万4801円
- 退職金:2112万2000円
〈地方公務員〉
- 平均給与:35万5807円
- 退職金:2174万7000円
〈民間企業〉
- 平均給与:38万1333円
- 退職金:1269万2000円
※民間企業の平均給与については、年額を12で割って算出しています。また、退職金については、勤続年数40年での定年退職の数字を記載しています。
〈業種別平均給与〉
- 建設業:44万833円
- 製造業:44万4167円
- 卸売・小売業:32万円
- 宿泊業・飲食サービス業:22万3333円
- 金融業・保険業:54万6667円
- 不動産業・物品賃貸業:38万833円
- 運輸業・郵便業:39万7500円
- 電気・ガス・熱供給・水道業:62万2500円
- 情報通信業:52万6667円
- 学術研究・専門・技術サービス業、教育・学習支援業:45万3333円
- 医療・福祉:34万833円
- 複合サービス業:42万1667円
- サービス業:31万4167円
- 農林水産・鉱業:28万833円
民間企業の平均給与は38万1333円で、地方公務員と国家公務員の中間あたりの金額となっています。一方、退職金の平均は1269万2000円と、公務員に比べて大幅に低くなっています。これは、企業によって退職金の出る企業と出ない企業があるためだと考えられるでしょう。
民間企業の平均給与を業種別に見てみると、電気・ガス・熱供給・水道業や金融業・保険業、情報通信業は公務員の平均額を大きく上回っています。しかし、農林水産・鉱業や宿泊業・飲食サービス業は平均給与が20万円台と、公務員よりも少ない状況です。
よって、民間と公務員の給与差は業種や勤続年数などで異なり「公務員は民間企業よりも多く給料をもらっている」とは一概にいい切れないのです。
5. まとめにかえて
国家公務員と地方公務員の平均給与には幾分かの差がありました。また、民間企業の平均給与は国家公務員と地方公務員の間くらいで「どちらが多いか」は職種や業種により異なるようです。
公務員の給与収入は時代に左右されない安定性が魅力といえます。しかし、なかには民間企業よりも低い給与で働いていたり、国会・議会対応で深夜まで業務に従事したりと厳しい実態もあります。
民間・公務員問わずすべての労働者の待遇改善がなされ、誰もが働きやすい環境が整備されていけば、より強靭な社会が構築できるでしょう。
参考資料
- 人事院「国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)」
- 人事院「国家公務員採用一般職試験(高卒者試験)」
- 人事院「国家公務員の紹介」
- 総務省「地方公務員の区分について」
- 人事院「令和6年国家公務員給与等実態調査 職員数、平均年齢、平均経験年数及び平均給与月額」
- 内閣官房「退職手当の支給状況」
- 総務省「令和5年地方公務員給与の実態 第2統計表I [基幹統計調査関係]一般職関係第1表~第3表の5」
- 総務省「令和5年地方公務員給与の実態 第2統計表[附帯調査関係]採用・退職関係第14表~第15表」
- 国税庁「令和4年分民間給与実態統計調査」
- 人事院「令和3年民間企業の勤務条件制度等調査(民間企業退職給付調査) 21-2 退職一時金・企業年金の支給状況」
石上 ユウキ