3.3 遺族厚生年金の5年ルール

遺族厚生年金は原則一生涯ですが、夫が死亡時に「子どものいない30歳未満の妻」については5年間しか遺族厚生年金が支給されません。

この仕組みを「遺族厚生年金の5年ルール」といいます。

まだ若いので、年金に頼らず自分で働いて生活してください、ということです。

2024年度の財政検証を受けて、厚生労働省では5年ルールの見直しを検討しています。

女性の就業率がアップし生活力も高まったことから、5年ルールを拡大して「夫死亡時の年齢が60歳未満の妻」に適用しようというものです。

【遺族年金】5年ルールの方向性

【遺族年金】5年ルールの方向性

出所:厚生労働省「遺族年金制度等の 見直しについて」

18歳までの子どもがいる場合は例外で、従来通り遺族基礎年金と遺族厚生年金が支給されます。

ただし、子どもが高校を卒業していると遺族厚生年金は5年で打ち切りとなります。

4. まとめにかえて

夫が国民年金にのみ加入していた場合、子どもがいる間の遺族基礎年金しか支給されないため、妻の生活は十分保障されるとは言い難いのが現実です。一方、夫が会社員の場合は、「子どものいない30歳未満の妻」を除けば、妻には一生涯遺族厚生年金が支給されます。

ただし、遺族厚生年金の5年ルールの見直しによって、遺族厚生年金が時間をかけて段階的に5年間の有期給付に移行する可能性もあります。

万一の場合、公的年金だけに頼るのではなく、生命保険の活用や妻の収入アップも検討してみましょう。

参考資料

西岡 秀泰