株初心者の悩みは大きく3つあります。
ひとつは「銘柄選び」、次いで「買い時」、最後の「売り時」。
「株初心者に共通する3つの大きな悩み」でも見たように、いずれも重要です。
株初心者が買いたい銘柄が決まっても「いつ買ってよいのか」、「いつ売ってよいのか」は分かりにくいもの。
今回は株初心者でも知っておきたい株の買いと売りの意思決定をプロ投資家はどのようにしているのかを見ていきましょう。
プロ投資家の判断基準はバリュエーション
バリュエーションという言葉をご存知でしょうか。英語では「Valuation」と書きます。日本語では「株価評価」とでも訳せましょうか。
バリュエーションは、一言でいえば、株に対しての値付けであり、その値付けが市場で取引をされている「時価」と比べて「高いのか」または「安いのか」、それとも「時価並み」なのかを判断するプロセスです。
プロ投資家である証券アナリストやファンドマネージャー(ポートフォリオマネージャー)はある企業に対して自分が行った値付けよりも「時価」が高いと思えば「割高」と判断します。
また、逆に自分の値付けが「時価」よりも高ければ「割安」と判断します。アナリストレポートでは「割高」の判断では「売り推奨」に、そして「割安」の判断では「買い推奨」となります。
資金の出し手としての顧客を持つプロ投資家としてトレーニングされるのは、バリュエーションをもとに「買い時」と「売り時」を適切に判断し、顧客に対して説明できるようになることです。その点が、あえて言えばプロとアマの差ともいえるでしょうか。
バリュエーションの使い方
バリュエーションと一口に言っても様々な方法があります。ここでは株初心者が実践的に使えるバリュエーションであるPERとPBRについて整理しましょう。
PERの本当の使い方とは
「株初心者が知っておきたいPERの使い方」でも説明したように、「PERを決める要素で大きなものは何かといえば、一言でいえば、その企業の将来の利益水準」だということです。
ただ、アナリストのような利益予想は苦手という株初心者も多いでしょうから、今回はPERの便利な使い方を見ていきましょう。
それは「企業の過去のPERの動向を振り返ること」です。
過去が未来を言い当てるわけではなりませんが、歴史がある企業であればあるほど、多くの投資家も過去を見ていることになります。手練れの機関投資家は「この銘柄はPERで何倍は株式市場が高いと考えるであろう」という目線を持っているものです。
PBRの本当の使い方とは
PBRも「株初心者が知っておきたいPBRの使い方」でみたように、基本的には過去のPBRの推移水準を知ることが重要であるのと、PBRとROEの関係性を見ることが重要です。
「PBRが2倍や3倍であれば売り」というようなあっさりとした投資スタイルも否定しませんが、是非その際にはROEとの関係も見てあげてください。そうすることで「10倍株」など大化けする成長銘柄を見落とすシーンが減るのではないでしょうか。
まとめにかえて
このようにプロ投資家の、株の買い時や売り時は、有事を除いては資金を預けてくれた顧客に適切な説明ができるバリュエーションにもとづいた行動をしています。
逆に言うとプロ投資家は顧客に対して合理的に説明できない行動はとりずらいということです。
ここに個人投資家がプロ投資家に勝てるチャンスがあると言えます。プロ投資家に先手を打つためにもバリュエーションの理解は必要といえます。
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