11月20日に総務省統計局より公表された「人口推計」によると、総人口は1億2379万人で、前年同月に比べ減少しているものの、65歳以上は増加し、うち75歳以上が3.51%増加しています。

このように高齢者世帯が増加している現状では、今後「相続」に関する問題に直面する家庭も増えていくと予想されます。

この記事では銀行口座の名義人が死亡して口座が凍結された際、口座から預金を引き出したい場合の払い戻し制度について解説します。また、事前に口座から預金を引き出すリスクについても解説します。

相続問題に直面した際にスムーズに対処できるよう、必要な知識をしっかり確認しておきましょう。

1. 役所に死亡届を出したら銀行の口座は凍結されるって本当?

役所に死亡届を提出すると、亡くなった方の名義の銀行口座はどうなるのでしょうか。

「即座に口座は凍結される」と考える方もいるかもしれません。しかし実際には、死亡届を役所に届けた時点で銀行口座が凍結されるわけではありません。

銀行が口座の名義人が亡くなったことを知った時点で、預金口座は凍結されます。親族が銀行に連絡し「名義人の死亡を伝えた時点」からになります。

例外として、銀行の担当者が新聞の訃報欄を見たり、葬儀が行われたことを知ったりした場合に、銀行側から親族に確認を取ったうえで口座を凍結する場合もありますが、稀なケースです。

注意したいのは、名義人の死亡に関する情報は、銀行間で共有されることはないという点です。もし亡くなった人が複数の銀行口座を保有していた場合には、すべての銀行に届け出をする必要があります。

とはいえ、同じ銀行の支店で複数の取引があった場合には、一度届け出をすればすべての支店の預金口座が凍結されます。

銀行に届け出をしなければ口座は使える状態のままなので、基本的には「届け出を出す前に口座から現金を引き出す」ということが可能です。

しかし、口座凍結の前に本人以外が現金を引き出すことは、いくつかリスクがあります。

どんなリスクがあるのか、次章で確認していきましょう。