近年は平均寿命の延伸や少子化の進行による若者人口の減少によって高齢者の割合が増えていますが、中でも高齢者の一人暮らしの割合が増加傾向にあることで日常生活を行う際や健康面で数多くの問題が生じているといいます。

内閣府「令和6年版 高齢社会白書(全文)家族と世帯(PDF版)」によると65歳以上の一人暮らしの者は男女ともに増加傾向にあって、65歳以上の男女それぞれの人口に占める割合が、1980年には男性4.3%、女性11.2%であったものが、2020年には男性15.0%、女性22.1%となり、2050年には男性26.1%、女性29.3%に達すると見込まれています。

では高齢者の一人暮らし(独居老人)が増える理由と「独居老人」が抱える問題点にはどのようなものがあるのでしょうか。

詳しく見ていきたいと思います。

1. 高齢者の一人暮らしの割合が増える理由

高齢者の一人暮らしが増えている原因には、以下の3つがあると思われます。

1.1 何らかの理由で家族を頼ることができない

以前は二世帯同居や三世帯同居が決して珍しいことではありませんでしたが、近年はライフスタイルの変化や職業選択の自由、働き方の変化、転勤等によって子供が離れて暮らしていることが多く、夫婦や親子だけで構成される家族がほとんどになりました。

子世帯と離れて暮らしている分、当然お互いの関わり合いの度合いは低くなってしまいがちです。

また長寿命化に伴い、しばらく夫婦2人で暮らしていたものの死別していずれか一方が一人暮らしになるケースもあります。

したがって何らかの理由で子供に頼ることができない、すでに家族は他界しているといった理由で、頼れる人が近くにいないケースも少なくありません。

さらに高齢者の価値観にも変化が現れ、「老後は子供に頼らずに自立したい」と考える方も増えています。