4. 「自分がもう少し頑張りさえすれば……」その気持ちが報われないこともある

在宅介護を断念し、施設へ入れることを決断するには金銭面、心理面で高いハードルがあります。

自分がもう少し頑張りさえすれば在宅介護は続けられる、と考える方も少なくないと思います。とはいえ、家族だけでは限界があります。想定外のトラブルが起きてから後悔しても遅いのです。

認知症介護の場合は、本人と満足に意思疎通が図れないケースも多々あります。よかれと思ってやったことが相手に届かず、愛情や親切心を踏みにじられては落ち込み、それでも“親だからわかってくれるはず”などと頑張ってしまう方が多いのではないでしょうか。

5. 65歳以上の5人に一人が認知症のいま、持っておきたいのは《頼る勇気》

でも、冷静に考えてみてください。それが報われるとは限らないばかりか、火事などのトラブルを起こして第三者を巻き込み、最悪の場合損害賠償などで家族がさらに苦しい立場になる、ということもありえなくないのです。

だからこそ、介護保険サービスを利用する、介護休暇や介護休業を活用することに決して後ろめたい気持ちにならないでほしいのです。

在宅介護が長期戦になる場合、家族は相当な負荷を抱えることになります。家族だけで問題を抱え込むのではなく、適切な医療機関や介護施設に繋げることも考えてみてください。頑張り続ける強さと同じくらい「頼る勇気」を持ちましょう。

自分自身の仕事や生活を守り、介護との両立を図ることが何よりも大切です。そのためにも、休暇中など時間がある際にも、家族とはこうした話題について話し合う機会を持てるとよいでしょう。

参考資料

佐橋 ちひろ