「人生100年時代」の足音が近づくいま。現役世代のみなさんの中には遠い将来のお金について心配をされている人も多いでしょう。

2022年時点で日本人の平均寿命は男性81.05年、女性87.09年(※1)。2065年には、男性84.95年、女性91.35年(死亡中位仮定)にまで延びると見込まれています(※2)。

そんな長寿時代に老後を過ごす私たち。「長生きリスク」に備え、老後資金をていねいに準備しておく必要がありそうですね。

本記事では「令和の年金エイジ」である70歳代のお金事情にフォーカス。シニア世帯の貯蓄額や年金受給額などのデータを見ていきます。

最後には、老後対策として今からできることについてもお話しします。ぜひ最後まで読んで参考にしてみてくださいね。

※1)厚生労働省「令和4年簡易生命表の概況」1 主な年齢の平均余命
※2)内閣府「令和4年版高齢社会白書」

1. 【令和の70歳代】いわゆる「標準的な夫婦世帯」の貯蓄額《平均と中央値はいくら?》

70歳代・二人以上世帯の貯蓄額円グラフ2/6

【貯蓄額の円グラフ】70歳代・二人以上世帯

出所:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」をもとにLIMO編集部作成

金融広報中央委員会が公表する「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」から、70歳代・二人以上世帯の貯蓄額を見ていきます。

なお、こちらは金融資産を保有していない世帯を含めた数字です。また「金融資産保有額」には、預貯金以外に株式や投資信託、生命保険なども含まれます。

1.1 【70歳代・二人以上世帯の貯蓄額】平均と中央値

  • 平均:1757万円
  • 中央値:700万円

1.2 【70歳代・二人以上世帯の貯蓄額一覧表】(金融資産を保有していない世帯を含む)

  • 金融資産非保有:19.2%
  • 100万円未満:5.6%
  • 100~200万円未満:5.1%
  • 200~300万円未満:4.3%
  • 300~400万円未満:4.7%
  • 400~500万円未満:2.5%
  • 500~700万円未満:6.2%
  • 700~1000万円未満:5.8%
  • 1000~1500万円未満:10.2%
  • 1500~2000万円未満:6.6%
  • 2000~3000万円未満:7.4%
  • 3000万円以上:19.7%

70歳代・二人以上世帯の平均貯蓄額は1757万円ですが、より実態に近い中央値で見ると700万円にまで下がります。

「貯蓄ゼロ世帯」と「貯蓄3000万円以上世帯」がそれぞれ約2割存在しますね。一般的な年金受給開始年齢は65歳。70歳代には、すでに年金受給をスタートしている世帯が多く含まれていると考えられます。

70歳代は、すでに多くの世帯が老齢年金の受給をスタートさせている年齢層。ただし、年金収入のみに頼る世帯、労働収入をキープできている世帯、配当や家賃収入などの不労所得が入る世帯など色々あるでしょう。

また遺産相続や定年退職金などで、一時的に貯蓄額が引き上げられたという世帯も一定数含まれているはずです。

次では今にシニア世代が受け取る「公的年金」についても見ていきましょう。

2. 【老齢年金一覧表】厚生年金・国民年金「平均・個人差」グラフで丸わかり

厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、今のシニア世代が受け取る、厚生年金・国民年金の「平均と個人差」を見ていきましょう。

2.1 【老齢年金一覧表】厚生年金「平均・個人差」グラフで丸わかり

厚生年金「平均・個人差」をグラフで丸わかり3/6

厚生年金の月額(平均と1万円刻み)

出所:厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

厚生年金の平均受給額(月額)※国民年金部分を含む

〈全体〉平均受給額(月額):14万3973円

  • 〈男性〉平均受給額(月額):16万3875円
  • 〈女性〉平均受給額(月額):10万4878円

2.2 【老齢年金一覧表】国民年金「平均・個人差」グラフで丸わかり

国民年金の「平均・個人差」グラフで丸わかり4/6

国民年金の月額(平均と1万円刻み)

出所:厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

国民年金(老齢基礎年金)の平均受給額(月額)

〈全体〉平均受給額(月額):5万6316円

  • 〈男性〉平均受給額(月額):5万8798円
  • 〈女性〉平均受給額(月額):5万4426円

厚生年金・国民年金の平均受給額をもとに、厚生年金の標準的な夫婦世帯(※)が受給する夫婦2人分の年金収入を計算すると……

夫「厚生年金(男性):16万3875円」+妻「国民年金(女性):5万4426円」=21万8301円

夫婦合算の年金額は、月額21万8301円となります。

この約22万円の年金月額で、夫婦のひと月の生活費をカバーできそうでしょうか。次では65歳以上の「いわゆる標準的な夫婦世帯」のひと月の家計収支を見ながら考えていきます。

※厚生年金の標準的な夫婦世帯の年金額

夫が平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43万9000円)で 40年間就業した場合、受け取り始める「老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額)」という条件で試算された「夫婦二人分の年金額」のこと。

3. いわゆる「標準的な夫婦」65歳以降無職世帯のひと月の生活費は?

65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支5/6

65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支

出所:総務省「家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要」

ここからは総務省「家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要」をもとに「65歳以上の夫婦のみの無職世帯」の家計収支を見ていきます。

3.1 毎月の収入

収入合計:24万4580円

  • うち社会保障給付(主に年金)21万8441円

3.2 毎月の支出

支出合計28万2497円

■消費支出:25万959円

  • うち食料:7万2930円
  • うち住居:1万6827円
  • うち光熱・水道:2万2422円
  • うち家具・家具用品:1万477円
  • うち被服及び履物:5159円
  • うち保健医療:1万6879円
  • うち交通・通信:3万729円
  • うちその他:5万839円

■非消費支出:3万1538円

標準的な年金生活を送る「65歳以上の無職夫婦世帯」の家計収支を見ると、ひと月月3万7916円の赤字に。公的年金だけで生活費をカバーしきれる世帯は決して多数派ではないことが推測されます。

日常の生活費だけなら、節約で乗り切れるケースもあるでしょう。でも、この支出の中身をよく見てみると、住居費が持ち家世帯を想定して1万6827円で計算されていたり、シニア世帯特有の大型出費の代表格である「介護費用」が含まれていなかったり、といった盲点があります。

老後も賃貸物件に住み続ける場合や、介護が必要となった場合はさらに支出が上乗せされます。介護施設へ入居をする場合は、初期費用としてまとまった資金が必要になるケースも少なくないでしょう。

また何より、今と同じ年金水準がこの先ずっと続くとは限らない点も、心づもりしておく必要がありそうです。

4. 「人生100年時代」を安心して過ごすために

今回は、70歳代世帯の貯蓄事情や年金受給額などのデータを確認していきました。長寿そのものについては喜ばしいことですが、「長生きリスク」を気にせざるを得ないと感じた人は少数派ではないでしょう。

「人生100年時代」に備えて、早めの段階から老後準備を始めることが大切です。iDeCoや新NISAなどを活用し、資産運用でお金を育てる視点を持つのも有効な手段でしょう。

また歳を重ねると、介護費や医療費など、生活費以外の予期せぬ出費がかさむことも想定しておく必要があります。

高額療養費制度や介護保険制度といった公的な支援をしっかり活用しつつ、カバーできない部分は民間の医療保険や生命保険で備えておけたら安心ですね。

また、老後の年金受給額は、現役時代の年金加入状況により人それぞれ。まずは「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」でご自身の受給見込額を把握しておきましょう。

老後に向けた貯蓄ペースを設定するうえで、大切な情報となります。働き盛りの「今」の行動が、将来の安心に繋がることを信じて、できることからコツコツ始めてみてはいかがでしょうか。

5. 【ご参考】年金に関する疑問や不安を解消!よくある質問を解説

年金に関する疑問や不安を解消!よくある質問を解説6/6

年金に関する疑問

出所:厚生労働省、日本年金機構などの各種資料をもとにLIMO編集部作成

日本の公的年金制度は複雑で、多くの人がさまざまな疑問を抱えていることでしょう。ここでは、年金に関するよくある質問を取り上げ、その解答を解説します。

5.1 年金の主な種類と仕組みは?

日本の公的年金は「国民年金」と「厚生年金」の2階建て構造になっています。

国民年金は日本国内に住む20歳以上60歳未満の全ての人が加入する基礎年金で、厚生年金は会社員や公務員が加入するものです。
国民年金は一定の保険料を納付し、将来の年金額が決まるのに対し、厚生年金は収入に応じた保険料を支払うため、将来の受給額にも差が出ます。

5.2 「繰下げ受給」とはどんな制度?

年金の受給開始年齢を遅らせることで、受給額が1カ月につき0.7%増える「繰下げ受給」があります。

例えば、65歳から受給を開始する予定を75歳0カ月まで繰り下げると、84%増額となります。これは、長期間働くことができる人や、他の収入源がある人にとって有利な選択肢となります。

5.3 年金を増やす方法はあるのか?

年金を増やす方法はいくつかあります。自営業やフリーランスの方は、国民年金の付加保険料を支払うことで、将来の受給額を増やせます。

また、厚生年金に加入する働き方に切り替えることも一つの方法です。

さらに、老後資金を増やすという意味では、投資信託やiDeCo(個人型確定拠出年金)などを利用して、自身で資産運用を行うのも選択肢です。ただし、運用にはリスクがあることに注意が必要です。

参考資料