4. 「人生100年時代」を安心して過ごすために
今回は、70歳代世帯の貯蓄事情や年金受給額などのデータを確認していきました。長寿そのものについては喜ばしいことですが、「長生きリスク」を気にせざるを得ないと感じた人は少数派ではないでしょう。
「人生100年時代」に備えて、早めの段階から老後準備を始めることが大切です。iDeCoや新NISAなどを活用し、資産運用でお金を育てる視点を持つのも有効な手段でしょう。
また歳を重ねると、介護費や医療費など、生活費以外の予期せぬ出費がかさむことも想定しておく必要があります。
高額療養費制度や介護保険制度といった公的な支援をしっかり活用しつつ、カバーできない部分は民間の医療保険や生命保険で備えておけたら安心ですね。
また、老後の年金受給額は、現役時代の年金加入状況により人それぞれ。まずは「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」でご自身の受給見込額を把握しておきましょう。
老後に向けた貯蓄ペースを設定するうえで、大切な情報となります。働き盛りの「今」の行動が、将来の安心に繋がることを信じて、できることからコツコツ始めてみてはいかがでしょうか。
5. 【ご参考】年金に関する疑問や不安を解消!よくある質問を解説
日本の公的年金制度は複雑で、多くの人がさまざまな疑問を抱えていることでしょう。ここでは、年金に関するよくある質問を取り上げ、その解答を解説します。
5.1 年金の主な種類と仕組みは?
日本の公的年金は「国民年金」と「厚生年金」の2階建て構造になっています。
国民年金は日本国内に住む20歳以上60歳未満の全ての人が加入する基礎年金で、厚生年金は会社員や公務員が加入するものです。
国民年金は一定の保険料を納付し、将来の年金額が決まるのに対し、厚生年金は収入に応じた保険料を支払うため、将来の受給額にも差が出ます。
5.2 「繰下げ受給」とはどんな制度?
年金の受給開始年齢を遅らせることで、受給額が1カ月につき0.7%増える「繰下げ受給」があります。
例えば、65歳から受給を開始する予定を75歳0カ月まで繰り下げると、84%増額となります。これは、長期間働くことができる人や、他の収入源がある人にとって有利な選択肢となります。
5.3 年金を増やす方法はあるのか?
年金を増やす方法はいくつかあります。自営業やフリーランスの方は、国民年金の付加保険料を支払うことで、将来の受給額を増やせます。
また、厚生年金に加入する働き方に切り替えることも一つの方法です。
さらに、老後資金を増やすという意味では、投資信託やiDeCo(個人型確定拠出年金)などを利用して、自身で資産運用を行うのも選択肢です。ただし、運用にはリスクがあることに注意が必要です。
参考資料
- 厚生労働省「令和4年簡易生命表の概況」1 主な年齢の平均余命
- 内閣府「令和4年版高齢社会白書(全体版)」 1 高齢化の現状と将来像
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 総務省「家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要」
菅原 美優