近年、よくメディアなどで「将来、年金は本当に支給されるのか」「具体的にはいくら支給されるのか」といった報道がなされています。さまざまな懸念点があることから、年金について不安を抱えている人も多いのではないでしょうか。

実際、2024年7月5日に厚生労働省が発表した「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」によると、年金を受給している高齢者世帯のうち、年金のみでは暮らせない世帯が58.3%となっており、2022年と比較して2.3ポイントも増加しています。

そこで今回は、65歳以上の年金暮らしについて、貯蓄額や年金額、生活費はいくらなのかを詳しく解説していきます。

1. 貯蓄の状況

貯蓄は老後の生活を支えるために重要な存在です。家計にゆとりある金融資産がないと、病気や災害などといった不足の事態に対応することも、ままならなくなってしまいます。

1.1 65歳以上の貯蓄額

では、65歳以上の貯蓄額を具体的に見ていきましょう。

【写真全3枚中1枚目】65歳以上無職二人以上世帯の貯蓄現在高の推移(2018~2023年)。2枚目では国民年金・厚生年金の平均月額をチェックする

65歳以上無職二人以上世帯の貯蓄現在高の推移(2018~2023年)

出所:総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)2023年(令和5年)平均結果(二人以上の世帯)」

二人以上の世帯のうち、世帯主が65歳以上の無職世帯(二人以上の世帯に占める割合31.7%)の1世帯あたり貯蓄現在高は2504万円となっており、前年と比較して145万円、6.1%の増加となっています。

なお、これは4年連続の増加。老後に向けて積極的に貯蓄を行う世帯が増えていると言えるでしょう。

また、貯蓄現在高を種類別に見てみると以下のとおりとなりました。

  • 定期性預貯金:846万円
  • 通貨性預貯金:754万円
  • 有価証券:480万円
  • 生命保険:413万円
  • 金融機関外:11万円

前年と比較すると、通貨性預貯金が55万円と7.9%の増加。有価証券が80万円と20.0%も増加しています。