3. 万が一「熊に出会ってしまった場合」どうすればいい?
対策を万全にしていたとしても、生息地域周辺で熊に遭遇してしまう可能性がゼロになる訳ではありません。その時の心構えはできているでしょうか。
もし、遭遇してしまった場合は、
- 目を逸らさずに後ずさりして距離を取る
- 襲われそうになったら後頭部を手で押さえて伏せる
これが基本の対応とされています(※4)。
また、車に乗っている際に熊に遭遇する可能性もあります。その場合は車の窓やドアを閉め、車内に留まるのが一番安全です。
また、万が一熊の被害で車の修理をする際、熊が原因であると証明できるように、必ずドライブレコーダーを装着しておきましょう。
お子さんと出かける際は、適切な対応ができるように、分かりやすく話をしておくことが大切です。
※4 環境庁 野生鳥獣の保護及び管理「クマ類の出没対応マニュアル -改定版-」
4. 【熊被害】熊による全国の農作物被害金額の推移(農水省公表)
4.1
- 1999 (平成11) 年度:約4億8900万円
- 2000 (平成12) 年度:約10億5500万円
- 2001 (平成13) 年度:約4億6400万円
- 2002 (平成14) 年度:約3億800万円
- 2003 (平成15) 年度:約3億2100万円
- 2004 (平成16) 年度:約4億1000万円
- 2005 (平成17) 年度:約3億1000万円
- 2006 (平成18) 年度:約7億6400万円
- 2007 (平成19) 年度:約3億3700万円
- 2008 (平成20) 年度:約3億6300万円
- 2009 (平成21) 年度:約3億3600万円
- 2010 (平成22) 年度:約5億2800万円
- 2011 (平成23) 年度:約3億3700万円
- 2012 (平成24) 年度:約3億8800万円
- 2013 (平成25) 年度:約2億7400万円
- 2014 (平成26) 年度:約3億9100万円
- 2015 (平成27) 年度:約3億円
- 2016 (平成28) 年:約3億8700万円
- 2017 (平成29) 年:約3億8900万円
- 2018 (平成30) 年:約3億8300万円
- 2019 (令和1) 年:約4億400万円
- 2020 (令和2) 年:約4億6000万円
- 2021 (令和3) 年:約4億3800万円
- 2022 (令和4) 年:約4億700万円
農林水産省「野生鳥獣による農作物被害状況の推移(※5)」では、鳥獣ごとの農作物被害額・被害面積・被害量が公表されています。
これによると、2022年度の野生鳥獣による全国の農作物被害は約156億円(対前年度約+0.5億円)。うち熊による被害総額は約4億700万円でした。2011年度以降、2億円台後半~3億円台で推移していましたが、2019年度以降は4億円台が続いています。
※5 農林水産省「農作物被害状況」全国の野生鳥獣による農作物被害状況について(令和4年度)参考3 野生鳥獣による農作物被害状況の推移
5. まとめ
皆さんの住んでいる地域によって、熊の被害に対する関心度や深刻度は違うかもしれません。ですが、熊が出没する可能性のある地域が広がりつつあると懸念されているのも事実です。
筆者が住む秋田県では「いつでも・どこでも・誰でも」クマに遭遇するリスクがあるとして注意を呼び掛けています。しかし、秋田県以外でも熊が生息する地域は各地に存在しています。
行楽シーズンに向けて、筆者が実際に見たり聞いたりしたリアルな状況をお伝えすることで、いざという時に役立ててもらえたらと思っています。
“正しくおそれる”ということを忘れず、万全の対策と心構えで秋のレジャーを楽しんでくださいね。
参考資料
- 環境省「クマ類の生息状況、被害状況等について」
- 美の国あきたネット ツキノワグマ情報「ツキノワグマによる人身被害状況」
- 秋田県生活環境部自然保護課「秋田の身近な動物 ツキノワグマ クマを知り、被害を防ぐ」
- 美の国あきたネット「ツキノワグマ情報」ツキノワグマによる事故を防ぐために
- 環境省 野生鳥獣の保護及び管理「クマ類の出没対応マニュアル -改定版-」
- 農林水産省「農作物被害状況」全国の野生鳥獣による農作物被害状況について(令和4年度)参考3 野生鳥獣による農作物被害状況の推移
鈴森 真樹