急激な円安などによる物価の上昇が、多くの年金生活者世帯の家計を直撃しています。
一定の要件を満たした低年金世帯であれば「年金生活者支援給付金(※)」の対象となります。10月より新たに対象となる人には、9月から順次請求書が送付されています。
一方で、なかには厚生年金を月30万円受給している人も。厚生年金の年金給付額は、現役時代の平均年収によって決定します。
では、年金月収30万円を受給している人は、現役時代の年収はいくらであったのでしょうか。また、厚生年金の平均月額についても紹介します。
ご自身の年金月額の算出方法も紹介しますので、参考にしていただければ幸いです。
※年金生活者支援給付金:2019年10月に開始。公的年金やその他の所得が一定基準額以下の人へ、生活支援を目的として支給される。
1. 「公的年金制度のしくみ」について
日本の公的年金制度は、2種類あり、20歳以上60歳未満のすべての国内居住者が加入する「国民年金」と、会社員や公務員の人が加入する「厚生年金」の2種類があります。
会社員や公務員の人は国民年金にも加入するので、「二階建て構造」となります。
1.1 国民年金
国民年金は、原則として20歳以上60歳未満のすべての日本国内居住者が加入対象です。60歳に到達するまで、40年間(480カ月)国民年金保険料を納付することとなっています。
職業等などにより、3つの被保険者の種別があります。
なお、国民年金の保険料は毎年度改定され、2024年度の国民年金の保険料は、月額1万6980円です。また、480カ月すべて納付すれば、老後に満額の国民年金(2024年度は月額6万8000円)を受給できます。
1.2 厚生年金
第2号被保険者である会社員や公務員の人は、厚生年金にも加入します。厚生年金の特徴として、国民年金のように保険料が一律に決まっていない点があります。
給与や賞与などに応じて厚生年金保険料は決定します。そのため、個人差が大きくなり年金受給できる金額にばらつきが生じることになります。
2. 厚生年金の平均月額は男女全体で14万円台
厚生年金の平均月額は?
前述のように、厚生年金は、給与や賞与によって個々に保険料が異なり、同時に受給金額も変わります。厚生年金の平均月額は国民年金を含めていくらになるでしょうか。
「令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、2022度の厚生老齢年金(基礎年金月額を含む)の平均月額は14万3973円となっており、男子が16万3875円、女子は10万4878円です。
約6万円の差の理由として、納める保険料が給与や賞与等による報酬面による差があったり、結婚・出産のため会社を退職したりするため、勤務月数が短くなることが考えられます。
3. 【厚生年金】月額30万円以上を受給する人口の割合は?
月額30万円以上を受給する人口の割合は?
「令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」では、年金月額ごとに、どれくらいの受給権者がいるのかも把握できます。
年金月額が30万円以上受給している総数は1万2490人で、受給者権者総数1599万6701人に対する割合は、0.08%です。男女別では、男子が0.11%、女子が0.11%となっています。
4. 【厚生年金】月額30万円以上を受給する人の現役時代の平均年収は?
厚生年金は、現役時代の給与・賞与、加入期間などに応じて、厚生年金保険料は決定することは先に述べました。
では、厚生年金を20歳から60歳まで40年間加入した会社員の場合、厚生年金を月30万円以上受給するには、現役時代年収がいくらである必要があるのかについて計算しましょう。
月30万円年金受給のうち、国民年金の月額6万8000円を差し引くと、厚生年金受給額は、月23万2000円となります。
厚生年金の受給額の算出方法は、「2003年3月以前」と「2003年4月以降」とで計算式が異なります。
- 2003年3月以前の被保険者期間
平均標準報酬月額×(7.125/1000)×2003年3月以前の加入月数
- 2003年4月以降の被保険者期間
平均標準報酬額×(5.481/1000)×2003年4月以降の加入月数
ここでは、2003年4月以降に厚生年金に40年間加入したと仮定して、年収目安を算出していきます。国民年金は、満額の78万円を受け取れることとします。
平均標準報酬額×(5.481/1000)×(12か月×40年間)=23万2000×12カ月
- 平均標準報酬額=約106万円
- 平均年収=約106万円×12カ月=約1272万円
月30万円の年金を受給するには理論上、現役時代40年間の年収の平均が、およそ1272万円必要となります。
20歳から40年間会社員(公務員)勤めで、平均年収が1272万円であってはじめて年金月額が30万円に到達します。
低い給与から年収が上ることで、平均年収が1272万円に到達することはあるかもしれませんが、かなりレアなケースであるといえるでしょう、
5. まとめ
月額30万円の厚生年金を受給している人の割合や、現役時代の年収について紹介しました。
ご自身のこれまでの平均標準報酬月額については、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で確認できますので、利用してみてはいかがでしょうか。
近年ではNISAやiDeCoといった制度を活用した資産運用をおこなうことで、年金だけに頼らないしくみも構築できます。
本記事を参考にして、ご自身の生活スタイルに応じた、充実したライフプランを検討されてはいかがでしょうか。



