3. 老後に必要な貯蓄額はいくら?シミュレーション

介護費は平均月額8万3000円だったので、19年間の額を計算すると以下の通りです。

8万3000円×12ヶ月×19年間=1892万円

以上から、老後に必要な医療費と介護費の総額は以下のようになります。

  • 生涯医療費(65歳以上):1604万円
  • 介護費用の一時的な出費:74万円
  • 介護費用の65歳以上の合計:1892万円
  • 合計:3570万円

ただし、生涯医療費は実際に負担している額ではありません。
健康保険に加入していれば、医療費のうち、高齢者の方が実際に負担するのは1~3割です。

総務省の「2023年(令和5年)家計の概要」によると、2023年の夫婦2人のみの世帯の平均支出額(月額)は29万3997円です。

上記データより、内訳を見てみると「保健医療」は、1万4728円となっており、実際の負担額はそこまで大きくないことが分かるでしょう。

なお、上記平均支出額から、65歳以上19年間で必要な貯蓄を計算してみると、以下のようになります。

  • 29万3997円×12ヶ月×19年間=6703万1316円

一方、日本年金機構によると、2024年における厚生年金の「夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額(月額)」は23万483円となっています。

こちらを65歳以上19年間で受け取れる額として計算すると、以下の通りです。

  • 23万483円×12ヶ月×19年間=5255万124円

65歳以上19年間で必要な費用から受け取れる年金額を差し引くと以下のようになります。

  • 6703万1316円(平均的な消費支出額)-5255万124円(厚生年金)=1448万1192円

このことから、老後に必要な貯蓄額としては少なくとも1500万円程度は必要と計算できるでしょう。

ただし、上記はあくまでも平均額であり、健康を壊して平均より高額な医療費が必要になったり、要介護状態になり介護費用がかかったりするケースもある点には注意が必要です。