総務省による「令和4年就業構造基本調査」によると、フリーランスの総数(副業も含む)が約257万人であるという結果が発表されました。
同調査で有業者の総数が6706万人なので「働く人のうちおよそ3.8%が副業も含めてフリーランスとして働いている」ということになります。
しかし、その労働環境には多くの問題が存在し、新たな法規制の必要性が浮上しています。
そこで、2024年11月1日から施行される「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(フリーランス・事業者間取引適正化等法)、通称「フリーランス保護新法」が注目されています。
この法律はフリーランスの労働環境を保護するために制定され、発注業者に対していくつかの禁止事項と罰則が設けられています。
今回は、特に重要なポイントを解説します。
1. フリーランスが増加している理由
まず、近年の日本でフリーランスが増加している背景について考えてみましょう。主な理由として以下の点が挙げられます。
1.1 価値観の変化
一つ目は、個人の働き方への考え方の変化です。「正社員で働くのが普通」「終身雇用が常識」という考え方から、ワークライフバランスが重要視されるようになったことや、コロナ禍を経て「多様な働き方を考える」「会社ではなく自分のために働く」という考えが大きくなってきました。
会社への所属意識が低下し、自分の能力で自分の労働を確保することが大事であるという考え方が増えたことにより、フリーランスとしての働き方を選択する人も増加しています。
1.2 副業を認める企業の増加
二つ目は、副業を許可する企業が増加したことです。
コロナ禍などを通じて、自社で従業員を十分な体制で雇用することが難しくなったことも一因となり、副業を解禁する企業が増加しました。
副業を通して時間や場所に縛られない働き方に触れることや、自分の能力の可能性を知ることで、フリーランスへの憧れやイメージが確立して独立を目指す人が増加しています。
1.3 多様な働き方が認められてきている
三つ目は、個人個人の考え方に加えて、世の中としても多様な働き方を当たり前と捉える見方が増えたことです。
現在の日本では、政府による働き方改革などを通して、多様な働き方を推進しています。
フレックス制度や在宅勤務の導入推進、フリーランスが業務を提供するための事業者なども充実したことで、フリーランスを目指すハードルが低くなったのです。