4. 高年齢雇用継続給付の注意点

高年齢雇用継続給付の注意点は、以下の3点です。

  • 年金の一部が停止または減額されることがある
  • 高年齢雇用継続給付は段階的に縮小される見込み
  • 高年齢雇用継続給付の申請時期

特に2025年からは、これまでに比べて給付金額が下がることが決まっています。今後の内容改正についてもよく確認しておきましょう。

4.1 年金の一部が停止または減額されることがある

高年齢雇用継続給付金を支給されている場合、年金の一部が停止や減額となる場合があります。年金は原則65歳から受け取りを始めますが、最短で60歳から繰上げ受給ができます。

また、厚生年金保険は70歳まで加入できるため、60歳から65歳の間は働きながら厚生年金の受け取りが可能です。

働きながら年金を受け取る場合、厚生年金の一部・全部が支給停止となります(在職による年金の停止)。加えて、このとき高年齢雇用継続給付を受けている場合は、標準報酬月額の6%相当の年金の支給がさらに停止されます。

もし在職による年金の停止が0円の場合でも、高年齢雇用継続給付を受けていると、厚生年金が支給停止となります。

働いている間は収入を得られるため、年金がなくても生活できる可能性が高いです。年金の支給が停止されるのを避けるのであれば、繰下げ受給して年金額を増やしておくのも一つの手といえるでしょう。

4.2 高年齢雇用継続給付は段階的に縮小される見込み

高年齢雇用継続給付は、2025年に給付額を「60歳以降の毎月の賃金の10%」に減額します。そのため、今後も支給金額が減る可能性が高いです。

高年齢雇用継続給付は、65歳までの雇用継続を支援するためにつくられた給付金です。

しかし、国は安定した雇用・就業の確保を実現するための政策として、60歳未満の定年廃止や定年引き上げ、65歳での継続雇用といったことを企業へ義務付けました。つまり、60歳以降の雇用がごく当たり前のことになってきたのです。

こうした時代背景から、2019年12月20日の「第137回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会」で、高年齢雇用継続給付について話し合われ、縮小が決定しました。

2025年4月からは、これまでより5%低い「賃金に対して10%」の給付となります。国は給付の廃止も検討していることから、今後も短期間で給付額が縮小されていく可能性が高いと考えられます。