世界中に熱狂を届けたパリオリンピックが終わり、パリパラリンピックが始まっています。
実際に現地で観戦してみたいものですが、円安進行という背景もあり、金銭的な余裕がなければ海外へ気軽に行くことはできません。
かつて「一億総中流社会」と言われた日本ですが、現在では貯蓄している世帯とそうでない世帯の二極化が進んでいます。そんな中、周りがいくらぐらい貯めているのかは気になるところです。
本記事では20歳代~70歳代までの貯蓄額の平均値と中央値を紹介し、貯蓄が2000万円を突破した場合に起こる変化について紹介します。
1. 貯蓄2000万円を突破している世帯はどれくらいいる?
貯蓄2000万円を達成している世帯はどれくらいいるのでしょうか。
世代別に単身世帯、二人以上世帯の貯蓄の平均値、中央値とともにチェックしていきます。
1.1 【20歳代~70歳代の単身世帯】貯蓄2000万円以上の割合と平均値・中央値
まずは、20歳代から70歳代の単身世帯について、貯蓄2000万円以上の割合と平均値・中央値を見ていきましょう。
【写真2枚】単身世帯の世代別貯蓄の平均値と中央値。2枚目は二人以上の一覧表を掲載1/2
出所:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)」をもとにLIMO編集部作成
- 全体:13.2%
- 20歳代:0%
- 30歳代:7.1%
- 40歳代:8.6%
- 50歳代:13.7%
- 60歳代:23.1%
- 70歳代:25.5%
単身世帯では60歳代、70歳代で貯蓄2000万円以上の割合が2割を超えました。
一方で20歳代では0%、30歳代、40歳代では1割以下となっています。
では、二人以上世帯ではどうでしょうか。
1.2 【20歳代~70歳代の二人以上世帯】貯蓄2000万円以上の割合と平均・中央値
ここからは20歳代から70歳代の二人以上世帯について、貯蓄2000万円以上の割合と平均値・中央値を見ていきましょう。
- 全体:18.9%
- 20歳代:2.9%
- 30歳代:6.6%
- 40歳代:11.8%
- 50歳代:16.6%
- 60歳代:30.0%
- 70歳代:27.1%
二人以上世帯では貯蓄2000万円以上の割合が30歳代以外の全世代で単身世帯を上回りました。特に60歳代では30%となっています。
二人以上世帯では、共働きによる収入の増加や、子育てなどのライフイベントが終わることで支出が減少し、貯蓄が増加する傾向があります。
特に60歳代では、退職金や年金などのまとまった収入も得やすい時期であるため、貯蓄が増えやすいです。
また、60歳代では住宅ローンを完済している世帯が多いため、その分貯蓄に回せるお金が増えていると考えられます。
2019年に話題となった「老後2000万円問題」が記憶に新しいですが、貯蓄が2000万円を超えることで、生活に何か変化が生じるのでしょうか。
実際には個人の生活状況や価値観によって異なる部分もありますが、次章で考えられる変化を挙げてみます。
2. 貯蓄2000万円を突破したときに起こる変化3選
もし貯蓄が2000万円を超えたら生活はどのように変化するのでしょうか。ここでは3つのポイントを見ていきます。
2.1 精神的な安心感が保たれる
2000万円以上の貯蓄があると、急な出費や予期せぬ事態にも対応できるという安心感が生まれます。これにより、日常生活でのストレスが軽減され、より余裕を持って生活できるようになるかもしれません。
気軽に外食を楽しめるようになり、欲しいものがあった時に値段で悩む必要がなくなります。そういった点では精神的に豊かになると考えられるのではないでしょうか。
2.2 ライフプランの自由度が増す
貯蓄が多いと、教育費や旅行などの娯楽費用を心配せずに支払うことができ、人生設計において多くの選択肢を持つことができます。
たとえば、子どもの教育に必要な費用を十分に準備することで、進学や留学の機会を広げることができ、趣味や旅行にも余裕を持ってお金を使うことができます。
さらに、貯蓄が増え続けることで、早期リタイアを考えることも可能になります。
労働を続ける必要がなくなるため、自由な時間を楽しむ生活を送ることができるでしょう。貯蓄が多いことは、より自由にライフプランを設定できることに繋がるかもしれません。
2.3 資産運用の選択肢が広がる
貯蓄が多いと、投資の選択肢が広がり、資産運用においてより効率的な戦略を取ることが可能です。資産運用においては、リスクを分散するために複数の投資対象に分散投資を行うことが重要です。
しかし、少ない資金では最低購入金額に満たず、投資できない商品もあります。
仮に2000万円以上の余裕資金があれば、株式や投資信託だけでなく、不動産など幅広く投資することができ、分散投資がしやすくなります。
貯蓄が多いほど、投資の選択肢が広がり、より自由な資産運用が実現できる可能性が高まります。
では、貯蓄2000万円以上あれば老後も安心して過ごせるのでしょうか。次章では「貯蓄2000万円でも安心できない理由」を考察していきます。
3. 貯蓄2000万円でも油断できない理由3つ
「老後2000万円問題」の影響で、2000万円を貯めれば安定した生活が送れると認識している方も多いかもしれません。
しかし、実際には貯蓄が2000万円あっても安心とは言い切れません。その理由をいくつか見ていきましょう。
3.1 現金だけではインフレで目減りしていく
インフレによって物価が上昇すると、現在の2000万円の価値が将来では大きく目減りする可能性があります。インフレ率が高いと、必要な生活費も増えるため、2000万円では十分な資金とは言えなくなるかもしれません。
このインフレによる現金価値の目減りを、多くの人が最近実感しているのではないでしょうか。
かつて「老後2000万円問題」が話題になった頃、日本はデフレの影響で物価が下がり続けていました。しかし、現在ではインフレが進行しており、2000万円という基準が安定した生活を支えるために十分かどうかも不確かになりつつあります。
3.2 資産運用にはリスクがある
2つ目の理由は、資産運用による価値の変動リスクです。
現金だけではインフレに対して脆弱であるため、投資信託などで資産運用を行っている方も多いのではないでしょうか。
確かに、インフレに強い株式や不動産などが組み込まれた投資信託を保有することは、インフレ対策として有効です。
しかし、その一方で、これらの資産は価格変動が大きいという特徴があります。8月には、日本の株式市場で歴史的な下げ幅を記録したというニュースが記憶に新しいでしょう。
長期的に見れば一時的な下落を過度に心配する必要はないかもしれませんが、全資産を投資信託のようなリスク性資産で保有している場合、急激な市場の変動により、生活費を捻出するのが難しくなる可能性もあります。
こうしたリスクを回避するためには、現金と資産運用のバランスを保ち、安定した資産形成を目指すのが理想です。
3.3 現役時代の生活水準を維持するなら不足する場合も
退職後も現役時代と同じ生活水準を維持しようとすると、予想以上にお金がかかることがあります。特に、旅行や趣味、家族との交流などにお金を使いたい場合、2000万円では不十分なこともあります。
これらの理由から、2000万円の貯蓄があっても、今後のライフイベントや経済環境の変化を考慮して、計画的な資産運用や追加で貯蓄しておく必要が出てくる場合があります。
4. まとめにかえて
本記事では、日本における貯蓄2000万円の世帯割合と、貯蓄2000万円を達成したらどのような変化が生じるのかについて見てきました。
貯蓄2000万円以上を有する世帯は全体としては多くない傾向があり、特に若年層にとってはそのハードルがさらに高いことが分かりました。
自分のライフプランの選択肢を広げるためにも、資産運用などを適宜活用して、インフレに負けない資産作りを進めていきたいですね。
参考資料
中本 智恵