2. 知らないと「年間約6万円」が損になる?「年金生活者支援給付金」とは
年金生活者支援給付金とは、収入が低い人を対象に、年金に上乗せして給付金を支給する制度です。
本制度は、2019年10月1日に消費税が10%に引き上げられたタイミングに合わせてスタートしました。消費税率の引き上げ分を給付金の財源としています。
年金生活者支援給付金には3つの種類があります。
- 老齢年金生活者支援給付金
- 障害年金生活者支援給付金
- 遺族年金生活者支援給付金
それぞれの支給額や支給条件、申請方法を見ていきましょう。
2.1 老齢年金生活者支援給付金
まずは老齢年金生活者支援給付金について説明します。
老齢年金生活者支援給付金の支給条件
65歳以上の老齢基礎年金受給者のうち、以下の条件をすべて満たす人に、老齢年金生活者支援給付金が支給されます。
①65歳以上の老齢基礎年金の受給者
②同一世帯の全員が市町村民税非課税である
③前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が87万8900円以下(※2)
※1 障害年金・遺族年金などの非課税収入は含みません。
※2 2024年8月時点の金額。77万8900円を超え87万8900円以下の場合、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。
補足的老齢年金生活者支援給付金は、給付金をもらえなかった人の所得よりも、給付金をもらった人の所得が多くなることを防ぐための制度です。
老齢年金生活者支援給付金の支給額
老齢年金生活者支援給付金および補足的老齢年金生活者支援給付金の支給額は以下のとおりです。
※1 1941年4月1日以前に生まれた人は、生年月日に応じて480月を短縮します。
※2 保険料免除期間に乗じる金額は、毎年度の老齢基礎年金の改定に応じて変動します。
※3 調整支給率=(87万8900円-前年の年金収入金額とその他の所得の合計)÷10万円
老齢年金生活者支援給付金は、保険料納付済期間等に応じて算出され、次の①と②の合計額が支給されます。
①保険料納付済期間に基づく額(月額)=5310円×保険料納付済期間÷480月(※1)
②保険料免除期間に基づく額(月額)=1万1333円(※2)×保険料免除期間÷480月(※1)
また、補足的老齢年金生活者支援給付金の支給額は、保険料納付済期間に基づいて計算した金額に調整支給率を乗じて算出します。
5310円×保険料納付済期間÷480月(※1)×調整支給率(※3)
申請方法
新規で請求する人の場合、65歳になる3カ月前に、年金を受け取るために必要な年金請求書とともに「年金生活者支援給付金請求書」が送付されます。年金生活者支援給付金請求書に必要事項を記入し、受給開始年齢の誕生日の前日以降に、年金請求書と合わせて年金事務所に提出することで支給できます。
なお、すでに年金を受給している人や 繰上げ受給をしている人は書類の種類が異なります。
基本的には書類の必要事項を記入して年金事務所へ提出すればよいので、おおまかな流れは同じと考えてよいでしょう。