役所に死亡届を出したら銀行口座が凍結される?凍結前にお金を引き出してもいい?アドバイザーが疑問にお答え
銀行届出前に口座からお金を引き出すことで考えられるトラブルとは
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2024年の1月1日より相続税や贈与税の仕組みが一部改訂されました。
例えば、生前贈与として3年以上前に受け取っていた財産は年110万円まで相続財産から除外されていましたが、今後は相続開始前7年以上経過しなければ加算されます。
また、亡くなった際には銀行口座の凍結など注意しなければいけないポイントがあります。
このように人が亡くなった際には税金やお金の問題は付きまとい、筆者も「万が一の際には口座が凍結されてしまうのでは」などとご相談をいただきます。
そこで今回は最後にどのように急に万が一のことが起きてもあわてないように、口座凍結を中心にお金の問題について考察を行います。
1. 役所に死亡届を出したら銀行口座が凍結されてしまうって本当?
結論として、死亡届を役所に提出しても、ただちに銀行口座が凍結されるわけではありません。
銀行が口座の名義人の死亡を認識した時点で、口座は凍結されます。そのため役所への死亡届提出だけでは口座が凍結されることはありません。口座が凍結されるのは、親族が銀行に連絡し、名義人の死亡を伝えた時点からです。
まれに、銀行の担当者が新聞の訃報欄を見たり、葬儀の情報を得たりして、銀行側から親族に確認を取り、口座を凍結する場合もあります。
なお、銀行間で名義人の死亡に関する情報が共有されることはありません。このため、亡くなった方のすべての銀行口座に個別に連絡する必要があります。ただし、同じ銀行内の複数の支店に口座がある場合は、一度の連絡で全支店の口座が凍結されます。
基本的には、銀行に連絡をしなければ口座は引き続き利用可能です。そのため、凍結前に口座から現金を引き出すことも可能です。
しかし、本人以外が凍結前に現金を引き出すことには、いくつかのリスクが伴います。次章で詳しく解説します。
執筆者
ファイナンシャルアドバイザー/ファイナンシャルプランナー/MDRT日本会会員
立命館アジア太平洋大学卒業後、自動車や通信業界にて営業職に従事。その後、ジブラルタ生命保険株式会社、株式会社ほけんのぜんぶに入社し、生命保険販売業務に携わる。AFP(Affiliated Financial Planner)、一種外務員資格(証券外務員一種)を保有。現在は個人向け資産運用のサポート業務をおこなう。生活全般に関わるお金の相談に対応が可能で、特に教育費や老後資金の準備、相続の相談などを得意とする。表彰歴多数。2020年、2021年度MDRT日本会会員。
監修者
株式会社モニクルリサーチ メディア編集本部
LIMO編集部記者/2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)/元銀行員
武庫川女子大学文学部卒業後、2015年に株式会社三菱UFJ銀行に入社。国内外株式の仲介、国内外の債券、投資信託、生命保険、住宅ローンなどの販売を通じ、主に個人顧客向けに資産運用提案業務に従事した。特に投資信託、保険商品の提案を得意とし、豊富な金融知識を活かした丁寧で分かりやすい提案が強み。表彰歴多数。2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)保有。
現在は株式会社モニクルリサーチのメディア編集本部・LIMO編集部に所属。「くらしとお金の経済メディア~LIMO(リーモ)~」では厚生労働省管轄の公的年金(厚生年金保険と国民年金)、金融庁、総務省、デジタル庁、財務省(国税庁)といった官公庁の公開情報から、年金制度の仕組み、退職金、資産運用や貯蓄、NISA、iDeCoなどをテーマに企画・編集・執筆を行う。(2024年6月21日更新)。