低所得者世帯や高齢者世帯は、生活に困窮するケースが多く、国がさまざまな支援を行っています。たとえば、2024年度には住民税非課税世帯への給付金最大10万円が支給されました。また、年金受給者で所得が一定額以下の人には、年金生活者支援給付金が支給されます。
加えて、お金を貸し付けてくれる制度も存在します。それが「生活福祉資金貸付制度」です。生活福祉資金貸付制度は、住民税が非課税でなくても利用できます。果たして、どのような制度なのでしょうか。この記事では、生活福祉資金貸付制度の概要や、貸付対象の人について解説します。
1. 「生活福祉資金貸付制度」とは
生活福祉資金貸付制度とは、低所得者や障がい者、高齢者の生活を支え、福祉や社会参加の促進を図る制度です。世帯として自立できるよう、国が対象世帯に貸付することで支援を行います。
生活福祉資金貸付制度は給付金ではありません。貸付を受けた金額は返済が必要です。返済期間は資金の使途によって異なりますが、最大20年ほどまで償還期限が設定されているものもあります。
ただし、生活福祉資金貸付制度は無利子で貸付を受けられます。貸付時の利子については、記事の後半部分で解説します。
2. 「生活福祉資金貸付制度」の対象者
生活福祉資金貸付制度の対象者は、以下のとおりです。
〈低所得世帯〉
- 住民税非課税制度程度の世帯
- 貸付により独立して生活できると認められ、必要な資金を借り受けるのが難しい世帯
〈障害者世帯〉
- 身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた者の属する世帯
〈高齢者世帯〉
- 療養または介護を要する高齢者など、65歳以上の高齢者の属する世帯
生活福祉資金貸付制度の対象は、低所得世帯、障がい者世帯、高齢者世帯です。そのため、住民税が非課税でなくても貸付を受けられます。また、65歳以上の高齢者も貸付対象であり、年金を受給していてもお金の借受が可能です。
では、貸付資金の種類と金額について、次章で見ていきましょう。
3. 【総合支援で約60万円】貸付資金の種類と金額
生活福祉資金貸付制度の種類と金額は、以下のとおりです。
〈総合支援資金〉
生活支援費
- 貸付限度額:(二人以上)月20万円以内 (単身)月15万円以内、貸付期間:原則3月(最長12月)
- 措置期間:最終貸付日から6月以内
- 償還期限:据置期間経過後10年以内
- 貸付利子:保証人あり 無利子 保証人なし 年1.5%
- 保証人:原則必要 ただし、保証人なしでも貸付可
住宅入居費
- 貸付限度額:40万円以内
- 措置期間:貸付けの日(生活支援費とあわせて貸し付けている場合は、生活支援費の最終貸付日)から6月以内
- 償還期限:据置期間経過後10年以内
- 貸付利子:保証人あり 無利子 保証人なし 年1.5%
- 保証人:原則必要 ただし、保証人なしでも貸付可
一時生活再建費
- 貸付限度額:60万円以内
- 措置期間:貸付けの日(生活支援費とあわせて貸し付けている場合は、生活支援費の最終貸付日)から6月以内
- 償還期限:据置期間経過後10年以内
- 貸付利子:保証人あり 無利子 保証人なし 年1.5%
- 保証人:原則必要 ただし、保証人なしでも貸付可
〈福祉資金〉
福祉費
- 貸付限度額:580万円以内 ※資金の用途に応じて上限目安額を設定
- 措置期間:貸付けの日(分割による交付の場合には最終貸付日)から6月以内
- 償還期限:据置期間経過後 20年以内
- 貸付利子:保証人あり 無利子 保証人なし 年1.5%
- 保証人:原則必要 ただし、保証人なしでも貸付可
緊急小口資金
- 貸付限度額:10万円以内
- 措置期間:貸付けの日から2月以内
- 償還期限:据置期間経過後12月以内
- 貸付利子:無利子
- 保証人:不要
〈教育支援資金〉
教育支援費
- 貸付限度額:<高校>月3.5万円以内 <高専>月6万円以内 <短大>月6万円以内 <大学>月6.5万円以内 ※特に必要と認める場合は、各上限額の1.5倍まで貸付可能
- 措置期間:卒業後6月以内
- 償還期限:据置期間経過後 20年以内
- 貸付利子:無利子
- 保証人:不要 ※世帯内で連帯借受人が必要
就学支度費
- 貸付限度額:50万円以内
- 措置期間:卒業後6月以内
- 償還期限:据置期間経過後 20年以内
- 貸付利子:無利子
- 保証人:不要 ※世帯内で連帯借受人が必要
〈不動産担保型生活資金〉
不動産担保型 生活資金
- 貸付限度額:土地の評価額の70%程度 ・月30万円以内 ・貸付期間 借受人の死亡時までの 期間又は貸付元利金が 貸付限度額に達するま での期間。
- 措置期間:契約終了後3月以内
- 償還期限:据置期間終了時
- 貸付利子:年3%、又は長期プライムレートのいずれか低い利率
- 保証人:要 ※推定相続人の中から選任
要保護世帯向け 不動産担保型 生活資金
- 貸付限度額:土地及び建物の評価額の 70%程度(集合住宅の場合は50%)生活扶助額の1.5倍以内 ・貸付期間 借受人の死亡時までの期間又は貸付元利金が 貸付限度額に達するまでの期間
- 措置期間:卒業後6月以内
- 償還期限:据置期間経過後 20年以内
- 貸付利子:無利子
- 保証人:不要
生活支援に関しては「一時生活再建費」の60万円が最大貸付額です。また、福祉費は資金使途によって最大580万円まで貸付を受けられます。自身の用途に合うものの貸付を受けて、生活を立て直すのに役立てましょう。
4. 連帯保証人を立てる場合は無利子で貸付可能
生活福祉資金貸付制度は、連帯保証人を立てる場合と立てない場合とで、貸付時の利子が異なります。それぞれのケースごとの利子は、以下のとおりです。
- 連帯保証人あり:無利子
- 連帯保証人なし:年1.5%
連帯保証人がいる場合は、無利子で貸付を受けられます。連帯保証人がいなくても、年1.5%と比較的低めの利子で借受が可能です。
ただし、教育支援費および緊急小口資金は、原則無利子で借りられます。また、不動産担保型生活資金は年3%または長期プライムレートのどちらか低いほうとなっています。2024年8月9日現在の日本の長期プライムレートは1.65のため、現在は1.65%の利子がかかると考えてよいでしょう。
5. 非課税世帯じゃなくても借りられる?
生活福祉資金貸付制度は、非課税世帯でなくても借りられます。対象者に障がい者のいる世帯や高齢者世帯といった低所得者世帯以外の世帯が含まれているためです。
該当する人がいる世帯は、住民税が非課税でなくても生活支援費や福祉費、教育支援費の貸付が受けられます。計画的に返済できる見込みがあり、生活に困っている人は、社会福祉協議会で相談してみるとよいでしょう。
6. まとめにかえて
生活福祉資金貸付制度は、一時的に生活が苦しいときや福祉サービスの費用が支払えないときなどに活用すれば、貸付により援助を受けられます。生活支援金であれば償還期限も10年と長いため、少しずつ返済が可能です。
給付金や年金だけでは生活が厳しいという人は、ぜひ住んでいる地域の社会福祉協議会に貸付について問い合わせてみましょう。
参考資料
- 社会福祉法人全国社会福祉協議会「福祉の資金(貸付制度)」
- 厚生労働省「生活福祉資金貸付条件等一覧(※新型コロナウイルス感染症の特例貸付の内容ではありません)」
- 日本銀行「長・短期プライムレート(主要行)の推移 2001年以降」
石上 ユウキ