河野デジタル大臣は2024年7月12日の記者会見にて、マイナンバーカードの健康保険証(マイナ保険証)について利用推進に努めていくことを公表しました。
現在は利用推進のために医療機関へのインセンティブが提供されており、徐々に利用率を伸ばしている最中です。
本記事ではマイナ保険証の概要を紹介しつつ、2024年度に施行された診療報酬改定について詳しく解説していきます。
1. マイナ保険証とは?
マイナ保険証は、マイナンバーカードを健康保険証として利用することです。
2021年10月から本格的な運用が始まり、2023年4月から医療機関でシステムの導入が義務化されています。
政府は2024年末の保険証廃止に向けて、認知と利用促進を強化しているのが現状です。マイナ保険証には、一体どんなメリットがあるのでしょうか?
1.1 マイナ保険証のメリット
- 過去に処方された医療情報を医師や薬剤師などに口頭で伝える必要がなくなる
- 手続きなしで高額医療費制度の限度額以上の支払いが不要になる
- 引っ越しや転職後の更新が不要になる
- マイナポータルで確定申告時の医療費控除申請が行える
- 医療業務の効率化を図れる
これまで高額医療費制度の支給を受けるには、窓口で全額の支払いを済ませたうえで支給申請書を提出しなければなりませんでした。
しかし、マイナ保険証を利用することで、限度額以上の支払いが免除されます。
また、データに基づいた診断や投薬を受けられるのもメリットです。過去の医療情報を口頭や紙への記入で伝える手間が省けるため、必要な情報をスムーズに共有できます。
同時に医療従事者は業務の効率化を図れるほか、誤記リスクなどを防げます。
次にマイナ保険証の利用率を確認していきましょう。
2. マイナ保険証の利用率はどのくらい?
厚生労働省「マイナ保険証の利用促進等について」を参照すると、2024年5月時点で利用率は7.73%でした。なお、マイナ保険証の利用件数は約1425万件です。
続いて病院・医科診療所・歯科診療所・薬局など施設類型別のマイナ保険証利用率を確認していきます。
2024年3月時点では、病院が14.83%と最も高く、歯科診療所が6.47%と最も低い数値で推移しているのが現状です。
また、2024年4月時点で薬局が最も低い数値で推移していたものの、2024年5月時点では7.40%と右肩上がりで利用率を伸ばしています。
ただし、全体的に利用率が高いとは言えない状況にあるため、政府は利用率を押し上げるためのインセンティブを設けました。
利用人数の増加に応じて異なりますが、診療所と薬局で最大20万円、病院で最大40万円の一時金を支援しています。
次に2024年度に施行された診療報酬改定の概要を確認していきます。