親ガチャという言葉はインターネット上で取り上げられ、すでに一つの「言葉」として認知された感があります。
以前より親の所得と子どもの学力、経験の差は関連していると指摘されてきました。所得が高ければ、小さい頃から習い事に通わせられることや進路選択のときもお金を理由に断念する可能性は低くなります。
「貧乏でも幸せで十分」という言葉は昭和の頃からありますが、とくに子育てに関しては子どもにとって様々なシーンで影響が大きく、お世辞にも「貧乏でも幸せな家庭」と実感できる家庭は本当に少ないでしょう。
今回は「親の所得」にスポットをあてて、親に所得があると何ができて、逆に所得がないと何ができないのか、改めて考えていきます。
1. 【所得格差】苦学生はもはやいないも同然なのか
筆者の家は町内会でも指折りの経済的に厳しい家庭で、クラスメイトが経験してきたようなことを未経験のまま成長してきました。
そうした中でも、近隣では進学校と呼ばれる高校に進むとさらに驚くことが待ち受けていました。同級生の大半が塾通いをして高校受験に備えていたのです。筆者のように塾通いをせずに入学した子はほとんどおらず、珍しがられました。
塾で仕事をし始めると、月謝の高さやそれを普通に支払える家庭の存在、生徒との会話から伝わる親の教育方針、そして進学校を目指す子ほど家庭の経済状況が安定していることを感じていました。
子どもの教育は親の所得の差が影響すると指摘されています。文部科学省の「令和3年度子どもの学習費調査」の私立中学校と公立中学校の年間収入の世帯割合をみても、私立中学に通う生徒と公立中学に通う生徒の親の所得のボリュームゾーンは以下のような違いがみられます。
1.1 公立中学
- 400万円未満: 10.2%
- 400~599万円: 21.2%
- 600~799万円: 26.6%
- 800~999万円: 20.5%
- 1000~1199万円: 11.3%
- 1200万円以上: 10.3%
1.2 私立中学
- 400万円未満: 3.8%
- 400~599万円: 6.2%
- 600~799万円: 15.4%
- 800~999万円: 16.8%
- 1000~1199万円: 17.7%
- 1200万円以上: 40.1%
公立中学に通う生徒の親の年収の割合が最も高いのは600万円から799万円であり、約7割が400万円から999万円という結果になっています。
一方、私立中学では親の年収が600万未満という生徒は全体の10%にとどまり、最も多いのが1200万円以上でした。
このことからも、子どもの進学と親の所得が強く関係しているのが分かります。