2. 【所得格差】子育てで親の所得差が影響する分野は多岐にわたる

私立中学への進学は義務教育期間ということもあり、都市部では過熱しているとはいえ、全国レベルで考えると受験をする子どもは限定されます。親の所得差がはっきり出てしまうのも仕方がないことです。

しかし、幼児期から親の所得による子どもの経験の差は少しずつ広がっていきます。少子化ということもあり、子ども向けの習い事教室を展開する企業では乳幼児を対象にしたクラスも開講してます。

子どもの才能を見つけることや色々と経験して得意なことを伸ばすためにそうした教室に入会を決める親もいる一方で、経済的な理由で習い事に通わせられない家庭もあるため就学前に音楽、運動そして語学と子どもの経験の差はある程度広がっています。

そして所得差は学力だけでなく体力面、運動能力の面でも影響があることが指摘されています。

岐阜県多治見市の公立幼稚園、保育園、公立小学校と公立中学校の園児と児童生徒そして保護者を対象とした調査「子どもの体力・スポーツ格差に関する基礎的実証研究」では親の所得の差と子どもの体力・運動能力の差がはっきりと関連していることが分かりました。

体力・運動能力の平均値を0とした場合、世帯年収400万円未満の子と世帯年収900万円以上の家庭の子を比較すると以下のような違いがあります。

体力・運動能力の平均値を0とした場合、世帯年収400万円未満の子と世帯年収900万円以上の家庭の子を比較すると明確な差があった

親の所得格差

出所:KAKEN:科学研究費助成事業データベース 科学研究費助成事業 研究成果報告書「子どもの体力・スポーツ格差に関する基礎的実証研究」(PDF)

2.1 年収400万円未満

  • 幼児 0.14
  • 小学生低学年 -0.93
  • 小学生中学年 -0.62
  • 小学生高学年 -0.20
  • 中学生 -0.5109

2.2 年収900万円以上

  • 幼児 0.70
  • 小学生低学年 0.74
  • 小学生中学年 1.46
  • 小学生高学年 0.25
  • 中学生 1.0438

すでに幼児期から差が出ており、400万円未満の家庭の子は小学生以降は平均を下回る結果になっています。