1.2 繰上げ受給の減額率について

年金の減額率は、繰上げ受給を請求・申出をしたタイミングによって異なります。具体的には月単位で減額率が変わり、以下の計算式で導き出せます。

  • 繰上げ減額率=0.4%×繰り上げた月数(60歳~64歳)

減額率は生涯変わることはないため、繰上げ受給を行う際はよく考えてから請求手続きを進めてみてください。

1.3 繰上げ受給を請求した際の注意点

繰上げ請求をするときは、以下の点に注意しましょう。

  1. 繰上げ請求を取り消すことはできない
  2. 国民年金の任意加入や保険料の追納ができなくなる
  3. 共済組合から支給される老齢年金も繰上げ請求することになる
  4. 65歳になるまでの期間に雇用保険の基本手当や高年齢雇用継続給付が支給される場合、繰上げ受給している老齢厚生年金の全部または一部が支給停止となる
  5. 65歳になるまでの期間は遺族厚生年金や遺族共済年金などを併せて受給できない
  6. 事後重症などによる障害基礎年金を請求できなくなる

特に雇用保険の失業給付と、老齢厚生年金を同時に受け取れない点は注意が必要です。失業給付を受給していなくても、公共職業安定所で求職の申し込みをすることで、翌月から年金が支給停止になります。

次の章では、60歳から受給した場合と65歳から受給した場合の損益分岐点をシミュレーションしていきましょう。