2024年8月2日に厚生労働省は公的年金の収支決算を公表しました。「厚生年金保険・国民年金の令和5年度収支決算の概要」の歳入歳出差に注目すると、国民年金・厚生年金ともに前年よりも増加傾向にあり、黒字で着地していることが確認できます。

老後の収入として欠かせない年金ですが、一体いつから受給できるのか気になっている方もいるのではないでしょうか。本記事では、年金の繰上げ受給や受給年齢による損益分岐点を中心に解説していきます。

1. 年金は「60歳から」受給できるの?

年金は原則として65歳から受給できますが、希望すれば60歳から受け取ることも可能です。年金を65歳より早く受け取ることを繰上げ受給といいます。ここでは、繰上げ受給について詳しく解説していきます。

1.1 年金の繰上げ受給の概要

繰上げ受給は、60〜65歳になるまでの期間に年金を受け取れる制度のことです。老齢年金を繰上げ受給するにあたって特別な要件は定められていないため、希望すれば請求月の翌月から年金を受け取れます。

60歳時点の所得を考慮して受け取りの判断をできるのがメリットです。ただし、繰上げ受給をする際は、老齢基礎年金と老齢厚生年金を同時に請求する必要があります。どちらか一方のみを繰上げ受給することはできないので注意が必要です。

また、年金の繰上げ受給を実施することで年金が減額されるのもおさえておきたいポイントです。では、具体的にいくら減額されるのか確認していきましょう。