6. 今からできる老後対策とは

ここまでは、住民税非課税世帯の世代別割合や、その割合が最も多かった70歳代世帯の貯蓄データについて確認してきました。

国からの給付金などの援助はありがたいものですが、こういった政策はいつまで続くかわかりません。

さらに、老後は医療費や介護費用などの予期せぬ緊急資金の出費も想定されると考えると、余裕を持って老後資金を用意したいものですね。

また、昨今の止まらぬ物価上昇を考えると、預貯金で資産を置いたままにしておくとお金の価値が目減りしてしまうというインフレリスクも懸念されるでしょう。

資産を守り、安心した老後を迎えるためには、資産運用は欠かせない時代となりました。預貯金とは異なり元本割れのリスクがありますが、時間をかけて運用することで、できる限りのリスクを抑えながら資産を増やしていくことに繋がります。

まずは、将来どのぐらいの老後資金が必要となるのかライフプランを立て、そこから逆算する形で、毎月どのぐらい貯めていけば良いのかを計算してみましょう。

また今は、NISAやiDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)などの税制優遇制度を国が用意しているので、投資初心者でも少額から始めやすい環境といえます。

ぜひ自分に合った老後対策をスタートしてみてはいかがでしょうか。

7. 【ご参考】高齢者等に向けた「年金生活者支援給付金」で月額約5000円が支給

今回の住民税非課税世帯への給付金以外にも、「年金生活者支援給付金」という低所得者や住民税非課税世帯を対象とした給付金があります。

「老齢年金(国民年金)」「障害年金」「遺族年金」を受給している人のうち、要件を満たした人が年金に上乗せして受け取れる給付金となっていますが、今回は「老齢年金生活者支援給付金」について解説します。

7.1 1.1 給付金額と対象者

<給付金額>

  • 保険料納付済期間に基づく額(月額)= 5310円 × 保険料納付済期間/被保険者月数480月
  • 保険料免除期間に基づく額(月額)= 1万1333円 × 保険料免除期間/被保険者月数480月

老齢年金生活者支援給付金は、収入が87万8900円以下の非課税世帯の人に対して支給されます。

 

<支給要件>

  • 65歳以上の老齢基礎年金の受給者である。
  • 世帯全員が市町村民税非課税である。
  • 前年の公的年金等の収入金額(※)とその他の所得との合計額が87万8900円以下である。※障害年金・遺族年金などの非課税収入を除く

たとえば、昭和31年4月2日以後生まれの方で被保険者月数480月のうち納付済月数が480カ月、全額免除月数が0カ月の場合は月額5310円が支給されます。

年額にするとおよそ6万円もの給付金が受け取れるため、生活に困窮している世帯にとってはありがたい制度となるでしょう。

対象者となった場合には9月より順次、申請書類が送付されます。必要事項を記載して提出する必要があるので、忘れずに申請しましょう。なお、一度申請すれば毎年申請する必要はありません。

老後はこのような給付金制度も活用しながら、生活を守っていくことが大切です。

参考資料

菅原 美優