個人が購入できる債券の種類が分かったところで、債券投資のメリットとデメリットをみていきましょう。

まずは債券投資のメリットについて説明します。

5. 債券投資のメリット

  • 手数料がかからない(円貨建ての場合)
  • 金融商品のなかでも安定性と安全性が高い
  • 株式と併せて投資するとリスク分散できる

5.1 手数料がかからない(円貨建ての場合)

円貨建ての債券を購入する場合、手数料はかかりません。

5.2 金融商品のなかでも安定性と安全性が高い

満期日まで定期的に利息が受け取れることに加えて、中途換金せずに持ちきれば額面金額が払い戻されます。

5.3 株式と併せて投資するとリスク分散できる

株式と債券は「負の相関係」にあり、反対の値動きをするとされています。株式が上がっているときには債券が下がり、債券が上がっているときには株式が下がります。具体的にはマーケット環境が良好で、投資家が株式投資のリスクを積極的にとっていく姿勢のときは株式に資金が集中して、債券は売られます。反対に、景気後退などでマーケット環境が悪化した際は投資家がリスクを取りにくくなり、株式市場から資金が流出し、安全性の高い債券に流れ込みます。組み合わせて投資することで相互に補完し合い、リスク分散できることから、安定的な資産形成が実現しやすくなります。

続いて債券投資のデメリットについて説明します。

6. 債券投資のデメリット

  • 新NISAの対象外
  • 中途換金しにくい
  • 発行される債券の種類や発行量が限定的

6.1 新NISAの対象外

現物の債券を購入する場合は、新NISAの対象外となるため、税制上の優遇は受けられません。新NISAで債券に投資したいと考える場合は、株式など複数の資産に債券を組み入れた投資信託やETFを選びましょう。

6.2 中途換金しにくい

株式同様、債券も中途換金することは可能ですが、株式とは異なり個人投資家が自由に売買できるセカンダリーマーケットが存在しません。このため、売却は金融機関を通じて行うこととなり、必ずしも希望価格で売却できるとは限りません。場合によっては元本を下回る可能性も出てきます。

ただし、国債は発行から1年が経過すれば中途換金できます(額面金額に経過利子相当額を加えた金額から、直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685の中途換金調整額が差し引かれます)。

6.3 発行される債券の種類や発行量が限定的

前述のように、個人が購入しやすい主な債券は国債や地方債、社債と種類が限定的です。このほかに、海外発行体が円貨建てで発行するサムライ債などもありますが、個人向けの発行はごく稀です。また、国債や地方債は定期的に発行されますが、社債の発行はまちまちです。

さらに、個人向けの社債を発行するのは、ソフトバンクグループなど特定の企業に偏っていることもあり、全体の発行量は多くありません。高めの利率でプライシングされた社債は人気が殺到し、即日完売となるケースも見受けられます。情報収集がやや難しく、口座を持っている証券会社のホームページなどで新発債の発行予定を小まめにチェックする必要があります。