7. 債券投資に向いているのはこんな人

以上のように、債券投資のメリットとデメリットを紹介しました。では、どんな投資スタンスを持っている人が債券投資に向いているのでしょうか。債券投資を検討している人は以下のチェック項目を確認し、ご自身の投資スタンスと合致しているかどうか、みてみてください。

  • 高いリスクを取りたくない人
  • 日々の価格変動をチェックする手間を避けたい人
  • 長い時間をかけて安定した資産形成を目指している人

7.1 高いリスクを取りたくない人

安全性の高い金融商品とはいえ、債券にも利払いが滞ったり元本の払い戻しが困難になったりする債務不履行のリスクが生じます。それでも、国債や地方債、できるだけ信用力の高い企業の社債を選べば極力リスクを抑えることは可能です。

7.2 日々の価格変動をチェックする手間を避けたい人

個人向けの債券は満期まで持ちきることが前提の商品です。もちろん既発債の評価額は日々変動しますが、債券のセカンダリーマーケットは機関投資家向けであり、株式のように個人が自由に売買できるものではありません。

債務不履行が生じない限り、満期まで保有すれば年限分の利息が入り、額面金額が払い戻されますので、こまめに価格のチェックをする必要はないといえます。

7.3 長い時間をかけて安定した資産形成を目指している人

債券の満期までの年限はさまざまですが、円貨建ての新発債の利率は決して高くないため、ある程度の投資妙味を得ようとするなら、投資年限を伸ばす必要があります。国債の変動利付型10年債をはじめ、地方債と社債でも5年債や7年債、10年債など満期までの年限が長いものもあります。

年限リスクが高くなる一方で、5年10年とゆっくり長い時間をかけて安定して資産を増やせるメリットが享受できます。例えば年限5年で利率1%の社債を100万円分購入したとして、年間1万円(税金の20.315%は考慮しないものと仮定します)の利息が5年間安定して得られることになります。

債券投資では、持ちきりを前提とすれば満期時に得られるリターンの総額が投資の初期段階から明確になっているため、将来の資金計画が立てやすくなるという利点もあります。上記の例では、満期時に払い戻された元本と併せて105万円が手元にある計算になります。

ただ、換金しにくいことから、投資資金は5年や10年のあいだ拘束されることになります。結婚や出産、子どもの進学や家を購入するなどライフイベントが直近に予定されておらず、まとまった資金を長期で投資できる方が債券投資に向いているといえるでしょう。

8. まとめにかえて

さて、ここまで債券投資のメリットとデメリット、債券投資に向いている投資スタンスについて説明しました。年明け以降、金融市場は株式市場がほぼ右肩上がりとなるなど好調に推移してきましたが、日銀の利上げや米景気の後退懸念などで、8月に入ってからは為替や株価が激しく乱高下しています。こうしたボラティリティの高さに惑わされず、長期で安定して資産を築いていくには、投資先の分散が重要になってきます。

ここまでの内容を踏まえて、ご自身がどのように資産形成していきたいのか考えるきっかけとしていただき、債券投資についてもぜひ検討してみてください。

参考資料

高原 祥子