2. 個人向け国債

国債は、国が発行する債券です。元本や利子の支払いは国が責任を持って行うため、安全性が高いとされています。

個人が購入できる国債は3種類あります。実勢金利に応じて適用金利が変わる変動金利型10年債のほか、満期まで利率が変わらない固定金利型5年債、固定金利型3年債とがあります。マーケット環境の変化などにより実勢金利が下落した場合でも、年率0.05%の最低金利が保証されていることなどが特徴です。

最低1万円から1万円単位で、証券会社、銀行等の金融機関や郵便局で購入できます。

個人向け国債の商品性の比較

個人向け国債の商品性の比較

出所:財務省ホームページ 教えてコクサイ先生

3. 地方債(住民参加型)

都道府県や市町村など地方公共団体(地方自治体)が発行する債券です。元本や利子の支払いは各自治体が責任を持って行うため、国債に次いで安全性が高いとされています。地方債の利率は国債と社債のあいだの水準になるため、国債の利回りでは物足りない、かといって社債では不安という人には地方債がおすすめです。

2024年4月発表時点では、東京都や埼玉県などが住民参加型市場公募地方債の発行を予定しています。購入を検討している地方自治体が個人向けの地方債を発行しているかは、各自治体のホームページなどで確認できます。発行している場合、発行条件や募集期間、取り扱い金融機関なども併せて調べておくとよいでしょう。最低5万円や10万円から、5万円単位、10万円単位などで購入できます。

令和6年度住民参加型市場公募地方債の発行予定

令和6年度住民参加型市場公募地方債の発行予定

出所:総務省 報道資料 令和6年度住民参加型市場公募地方債の発行予定

※状況の変化等により、発行予定時期、発行予定団体及び発行予定額は変更の可能性があります。
発行の詳細については、各発行予定団体にお問い合わせください。

4. 社債(事業債)

一般の事業会社が発行する債券です。社債、事業債などと呼ばれます。日本の債券市場では、100億円単位のまとまった額の資金を定期的に調達する必要がある電力会社の「電力債」が代表格です。ただ、電力債は個人向けの発行もありますが、主に機関投資家向けが中心です。個人向けでは、大規模なM&Aなどで資金調達のニーズが多いソフトバンクグループがたびたび社債を発行することで有名です。このほかでは、民鉄やJR、ノンバンク、メガバンクなどが個人向け社債を発行しています。

社債への投資を検討する際に参考にしたいのが、外部の格付会社が発行体の信用力を分析したうえで付与する「格付(かくづけ)」です。格付とは、発行体がもつ元利金の支払い能力や財務の健全性など、安全性や総合力をアルファベットとプラスマイナスの記号でランク付けしたものを指します。格付会社は、日本では格付投資情報センター(R&I)と日本格付研究所(JCR)の2社が存在します。

R&IとJCRの格付は同じ符号で表され、AAA/AA/A/BBB/BB/B/CCC/CC/Dまでのランクがあります。投資適格はBBB(トリプルB)以上となります。なるべくリスクを取らずに安全性の高い社債に投資したいと考える方は、格付会社からシングルAクラスやAA(ダブルエー)クラスの高い格付を付与されている債券を検討するのがおすすめです。なお、R&Iで最上位のAAA(発行体格付)を付与されている日本の企業は、トヨタ自動車、デンソー、トヨタファイナンスです(2024年7月31日時点)。

最低10万円から10万円単位で購入できる銘柄が中心ですが、最低100万円から100万円単位の銘柄もあります。発行する債券の引受証券会社で購入できます。

【一覧表】R&IとJCRの格付符号

R&IとJCRの格付符号一覧表

出所:R&I/JCRホームページより筆者作成