1. 金利上昇が賃貸住宅の家賃に影響を及ぼす?
金利の上昇は、賃貸住宅の家賃にも影響を及ぼすといわれています。
家賃の値上げは法律によって認められた賃貸住宅オーナーの権利ですが、値上げするためには正当な理由が求められます。
正当な理由がないまま家賃の値上げを行った場合には、借主からの訴訟にまで発展する恐れがあり、不当な値上げと判断されてしまうことがあります。
一方、物価や人件費の上昇などは賃貸住宅経営にかかるコスト増加を引き起こしてオーナーの経営を圧迫する恐れがあるため、家賃を引き上げるための正当な理由として認められています。
そして賃貸住宅を建てる際には、多くの方が金融機関から融資を受けています。
融資を受ける際の金利には、主に変動金利、固定金利、一定期間固定金利がありますが、史上最低水準の低金利であった近年では多くの方が変動金利を選択しています。
今回の日銀の決定により政策金利が上がれば、借入における変動金利が上昇する可能性があります。
したがって賃貸住宅の貸主である大家さんが変動金利のローンを利用して賃貸住宅を建てている場合には、金利が上がれば支払うべきローンの総額も上がってしまうので、これも家賃が上がる正当な理由になります。
さらに金利が上昇すれば不動産投資のメリットが減少してしまうので、新たな賃貸物件の供給が減ってしまう可能性もあります。
それに伴い賃貸物件の選択肢が少なくなるので、賃料の引き上げにつながる可能性があるといえるでしょう。
しかし入居者がこれを受け入れてくれない場合には、オーナーにさまざまなリスクがあります。
2. 家賃の値上げによりオーナーにもリスクが?
家賃の値上げは入居者(借主)の経済的負担が増えることになるので、賃貸住宅のオーナー側からみると入居者が退去して空室率の上昇に繋がってしまう恐れがあります。
特に現状では賃金の上昇が遅れている傾向にあるので、家賃の値上げによって賃金と比較してどうしても割高感が出てしまい、入居者離れを引き起こす可能性があるでしょう。
この場合にはたとえ一室あたりの収入を増やすことができたとしても、建物全体的な収入が減ってしまうことにもなりかねません。
また家賃滞納のリスクが上昇し、最悪のケースでは入居者が夜逃げしてしまう可能性が生じます。
夜逃げが発生すれば退去者が残していった家財の撤去や処分にもコストがかかってしまうので、貸主の負担はさらに増えることになります。
したがって家賃を値上げする際には、値上げの時期を慎重に検討することが求められます。