日本銀行(日銀)は、年4回の金融政策決定会合において、先行きの経済・物価の見通しや上振れ・下振れの要因を詳しく点検し、金融政策運営の考え方を整理した「経済・物価情勢の展望」を決定して公表しています。

そして2024年7月31日までの金融政策決定会合で、政策金利を0.25%程度に引き上げる利上げを決めました。

【写真1枚目/全2枚】2024年7月金融政策決定会合での決定内容/金利引き上げが家賃に及ぼす影響は?次ページで解説1/2

2024年7月金融政策決定会合での決定内容

出所:日本銀行「(参考)2024年7月金融政策決定会合での決定内容」

政策金利とは、日本銀行など各国の中央銀行が景気や物価の安定などの金融政策上の目的を達成するために使用する短期金利(誘導目的金利)で、中央銀行が一般の銀行に貸し付ける際の金利のことです。

したがって政策金利の変更は、金融機関の預金金利や貸出金利などに影響を及ぼします。

政策金利の引き上げが行われると、一般的に企業や個人が借り入れをする際に支払う利息が増加するため借り入れや支出に対して消極的になるので、消費よりも貯蓄のメリットが高まります。

そして利上げによって消費が抑制されれば、商品が供給過剰になって物価が下がる傾向があります。

しかし日銀の調査では、幅広い地域、業種、企業規模で賃上げの動きが広まっていることが確認でき、今後もこうした動きが進むことが見込まれるため、賃金と所得の増加が個人消費を支えていくと判断しているようです。

1. 金利上昇が賃貸住宅の家賃に影響を及ぼす?

金利上昇が賃貸住宅の家賃に影響を及ぼす?2/2

紙幣の束の写真

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金利の上昇は、賃貸住宅の家賃にも影響を及ぼすといわれています。

家賃の値上げは法律によって認められた賃貸住宅オーナーの権利ですが、値上げするためには正当な理由が求められます。

正当な理由がないまま家賃の値上げを行った場合には、借主からの訴訟にまで発展する恐れがあり、不当な値上げと判断されてしまうことがあります。

一方、物価や人件費の上昇などは賃貸住宅経営にかかるコスト増加を引き起こしてオーナーの経営を圧迫する恐れがあるため、家賃を引き上げるための正当な理由として認められています。

そして賃貸住宅を建てる際には、多くの方が金融機関から融資を受けています。

融資を受ける際の金利には、主に変動金利、固定金利、一定期間固定金利がありますが、史上最低水準の低金利であった近年では多くの方が変動金利を選択しています。

今回の日銀の決定により政策金利が上がれば、借入における変動金利が上昇する可能性があります。

したがって賃貸住宅の貸主である大家さんが変動金利のローンを利用して賃貸住宅を建てている場合には、金利が上がれば支払うべきローンの総額も上がってしまうので、これも家賃が上がる正当な理由になります。

さらに金利が上昇すれば不動産投資のメリットが減少してしまうので、新たな賃貸物件の供給が減ってしまう可能性もあります。

それに伴い賃貸物件の選択肢が少なくなるので、賃料の引き上げにつながる可能性があるといえるでしょう。

しかし入居者がこれを受け入れてくれない場合には、オーナーにさまざまなリスクがあります。

2. 家賃の値上げによりオーナーにもリスクが?

家賃の値上げは入居者(借主)の経済的負担が増えることになるので、賃貸住宅のオーナー側からみると入居者が退去して空室率の上昇に繋がってしまう恐れがあります。

特に現状では賃金の上昇が遅れている傾向にあるので、家賃の値上げによって賃金と比較してどうしても割高感が出てしまい、入居者離れを引き起こす可能性があるでしょう。

この場合にはたとえ一室あたりの収入を増やすことができたとしても、建物全体的な収入が減ってしまうことにもなりかねません。

また家賃滞納のリスクが上昇し、最悪のケースでは入居者が夜逃げしてしまう可能性が生じます。

夜逃げが発生すれば退去者が残していった家財の撤去や処分にもコストがかかってしまうので、貸主の負担はさらに増えることになります。

したがって家賃を値上げする際には、値上げの時期を慎重に検討することが求められます。

3. 近い将来には賃貸住宅の家賃が上昇する可能性が高い

前述した理由から家賃の値上げは経済の変動(景気の変動)に遅れて発生する傾向があるので、賃貸住宅オーナーにとっては当面の経営状態は悪化する可能性が否定できません。

しかし日銀が「金利を上げる」という政策をとるのは、経済の循環が好転している状況にあるといえます。

賃金上昇が徐々に顕著になってくれば、少し遅れて家賃を値上げできる可能性が高いといえるでしょう。

オーナーにとっては金利の上昇は利息が増えてしまうのでマイナス要因ですが、賃料が増額できれば利息増額分を相殺することができます。

4. まとめにかえて

金利の上昇は不動産市場に大きな影響を与える可能性があります。

金利の上昇により新たな賃貸物件の供給が減少すれば、既存の賃貸物件の家賃へも少なからず影響を与えることでしょう。

そしてオーナーが家賃の見直しや契約条件の変更などを求めるようになれば、入居者の契約期間終了後の更新が難しくなってしまうこともあります。

したがって金利の上昇は単にオーナーのローン返済額に影響を与えるだけでなく、賃貸住宅に住んでいる人々の家計にも大きな影響を及ぼす可能性があるといえます。

参考資料

亀田 融