2. 高齢者世帯は他の年代に比べて「お金持ち」が多いのは本当か
二人以上世帯と、そのうちの高齢者世帯の貯蓄額を比較してみます。
〈二人以上の世帯〉
- 平均貯蓄額:1901万円
- 貯蓄額の中央値:1168万円
〈65歳以上の高齢者世帯〉
- 平均貯蓄額:2414万円
- 貯蓄額の中央値:1677万円
貯蓄額の平均・中央値は、65歳以上の高齢者世帯が二人以上の世帯全体に比べて多い結果となりました。中央値を比較すると、二人以上世帯は1168万円ですが、高齢者世帯は1677万円で、約1.4倍の金額となっています。
高齢者世帯は、資産額自体は他の世帯に比べて多いようです。では、支出についても確かめてみましょう。
2.1 65歳以上のシニア世帯87.7%が「家計にゆとりがない」と回答
内閣府の「令和6年版 高齢社会白書」によると、65歳以上の世帯のうち、87.7%が「家計にゆとりがない」と回答しています。各回答の割合は以下のとおりです。
- 家計にゆとりがあり、まったく心配なく暮らしている:12.0%
- 家計にあまりゆとりはないが、それほど心配なく暮らしている:56.5%
- 家計にゆとりがなく、多少心配である:23.7%
- 家計が苦しく、非常に心配である:7.5%
- 不明・無回答:0.3%
前述のとおり、65歳以上の高齢者世帯は平均貯蓄額が2414万円、貯蓄額の中央値が1677万円で、全世帯平均よりも多い結果となっています。にもかかわらず、8割以上の人が「家計にゆとりがない」と回答。さらに、全体の約3割以上が「今後のお金が心配」と回答しているのです。
毎月の生活費の支出や心配に感じる貯蓄額のボーダーラインは人によって異なります。なかには、老後への備えが十分あるにもかかわらず過剰にお金のなさを心配する人もいるでしょう。歳を重ねてどれだけお金を貯めたとしても、将来への不安が消えないようです。
高齢者世帯の多くが、貯蓄額の割にネガティブなマインドを持っていることがわかりました。では、高齢者世帯の実際の貯蓄額を次章で確かめてみましょう。