2. 会社員の夫と専業主婦世帯の「モデル年金」:所得代替率61.2%
財政検証では、主に夫のみが働き、妻が専業主婦である片働きの夫婦世帯を想定しており、現役男性の平均手取り収入額に対する年金の比率である「所得代替率」で検証すると「61.2%」という結果となっています。
その際のもとになる条件と計算式は以下のとおりです。
- 所得代替率の計算式: (夫婦2人の基礎年金+夫の厚生年金)/現役男子の平均手取り収入額
- 夫婦2人の基礎年金:13万4000円
- 夫の厚生年金:9万2000円
- 現役男子の平均手取り収入額:37万円
2024年度時点の所得代替率は61.2%。
しかし、次の財政検証までにこの所得代替率が50%を下回ると見込まれる場合には、「マクロ経済スライドの終了その他の措置を講ずるとともに、給付及び負担の在り方について検討を行い、所要の措置を講ずる」とされています。
3. 【オプション試算】50歳、40歳、30歳の人が65歳になったときの年金額は?
「令和6(2024)年財政検証結果の概要」には、さらに、年金制度の課題の検討の材料となる検証作業として「オプション試算」も含まれています。
今回のオプション試算には、以下5つを新たに加えて検証しています。
- 被用者保険の更なる適用拡大を行った場合
- 基礎年金の拠出期間延長・給付増額を行った場合
- マクロ経済スライドの調整期間の一致を行った場合
- 65歳以上の在職老齢年金の仕組みを撤廃した場合
- 標準報酬月額の上限の見直しを行った場合
年金額の将来見通しの結果は、「実質賃金上昇率(対物価)1.5%の成長型経済移行・継続ケース」「実質賃金上昇率(対物価)0.5%の過去30年投影ケース」の2パターンでの2024年度時点で65歳の年金受給者、同時点で50歳、40歳、30歳の人が65歳になったときの年金額が記されています。
それぞれいくらかみてみましょう。