2024年7月に厚生労働省より、5年に1度の「令和6(2024)年財政検証結果の概要」が公表されました。
財政検証とは、国民年金や厚生年金がこの先100年にわたって維持できるかどうかを5年に1回チェックする、年金制度の「定期健康診断」のようなものです。
とくに、今40歳~50歳の人々にとって、老後収入の基盤となる年金制度がこの先も順調かどうかは大きな関心ごとといえます。
今回は、最新の財政検証から得られる情報を基に、今の40歳や50歳が将来受け取る年金額について解説します。
1. 令和6(2024)年財政検証結果の概要とは?
日本の公的年金制度には、少子高齢化に伴う公的年金加入者の減少や平均寿命の延びなど、社会の人口・経済全体の状況を考慮して、給付と負担のバランスを自動的に調整するしくみがあります。
このしくみのもとになるのが「2004(平成16)年の年金制度改正における年金財政のフレームワーク」で、以下のとおりです。
- 上限を固定した上での保険料の引上げ
- 負担の範囲内で給付水準を自動調整する「マクロ経済スライド」の導入
- 積立金の活用
- 基礎年金国庫負担の2分の1への引上げ
これらの項目のバランスがとれているかどうか確認するため、少なくとも5年ごとに、直近の人口や経済の状況を反映した、長期にわたる財政収支の見通しを作成しています。
これを「財政検証」といいます。