5. 70歳代の貯蓄額
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」、金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)」から、70歳代の貯蓄事情をみていきましょう。
5.1 【70歳代・二人以上世帯】平均貯蓄額と中央値
- 平均貯蓄額:1757万円
- 中央値:700万円
5.2 【70歳代・単身世帯】平均貯蓄額と中央値
- 平均貯蓄額:1529万円
- 中央値:500万円
70歳代の二人以上世帯の平均貯蓄額は1757万円、中央値は700万円です。また、単身世帯の平均貯蓄額は1529万円、中央値は500万円です。
中央値とは、データの値を小さい順に並べたときに、ちょうど真ん中に来る値のことです。
平均値は、データの中に極端に大きな、または小さな値があった場合に、計算結果に影響を受けやすいですが、中央値は大きな影響を受けないため、実際の平均に近い値を知るうえで適しているとされています。
そのため、二人以上世帯では700万円、単身世帯では500万円が実際の平均額に近いといえるでしょう。
ただし、二人以上世帯・単身世帯ともに「3000万円以上の資産のある世帯」と「金融資産なしの世帯」割合が多くなっており、老後資金が十分な世帯となしの世帯が極端に分かれている状態となっています。
6. まとめにかえて
8月から10月までの3カ月間の電気・ガス代補助により、夏場の電気・ガス料金が値引きされます。電気・ガス代が安くなることで、家計の負担が軽減されることが期待されます。
しかし、70歳代の高齢者世帯では毎月3〜4万円の赤字となっており、今回の施策があっても生活にゆとりを持たせることは難しいかもしれません。
さらに、食料品や生活用品などの値上げも続いていることから、経済的に厳しい状況は続くことが予想されます。
参考資料
- 首相官邸ホームページ「令和6年6月21日 岸田内閣総理大臣記者会見」
- 経済産業省 資源エネルギー庁「電気・ガス料金支援」
- 経産業省 資源エネルギー庁「省エネルギー政策について」
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 総務省統計局「家計調査報告 家計収支 2023年(令和5年)平均結果の概要」
木内 菜穂子