3. 2025年に自己都合退職者が相次ぐと予想される理由
今回のさまざまな改正により、2025年に自己都合退職者が増加すると予想されます。主な理由としては、失業保険の給付制限や教育訓練給付の拡充などが挙げられます。
特にキャリアアップを検討している方であれば、退職後すぐに教育訓練を受講することで公的な給付金を受け取りながらキャリア形成に必要な専門知識や資格の取得を行えるのがポイントです。
総務省統計局の「労働力調査(詳細集計)2023年(令和5年)平均結果」によると、転職者数は328万人で前年の303万人から25万人増加していると確認できます。
さらに、転職希望者数は2016年から2023年までの7年間で右肩上がりに増え続けており、2023年度では1007万人になりました。どちらも前年比では増加傾向にあります。
また、厚生労働省「令和5年版 労働経済の分析」によると、2022年度の前職離職理由で「より良い条件の仕事を探すため」が増加しています。今後もキャリアアップを目指した転職活動は積極的に行われると予想され、今回の改正が転職希望者を後押しする結果になると見込めます。
4. まとめにかえて
今回の雇用保険法の改正では、さまざまな理由により週所定労働時間が20時間以上に満たない方でも雇用保険の加入対象者に該当する可能性があります。雇用保険に加入することで、失業給付や教育訓練給付などの公的支援を受けられるのがメリットです。
一方で、セーフティネットの拡大によって制度の改正後に自己都合離職者が増加する恐れもあります。多くの労働者を雇用している企業としては、退職者が増えたことによる対応を迫られるでしょう。法案が施行されるまでに期間の猶予があるため、今のうちに対策を実施してみてください。
参考資料
- 厚生労働省「雇用保険法等の一部を改正する法律(令和6年法律第26号)の概要」
- 首相官邸「物価高を上回る所得増へ」
- 厚生労働省「令和4年度雇用均等基本調査」
- 総務省統計局「2023年(令和5年)平均結果の概要」
- 厚生労働省「令和5年版 労働経済の分析」
- 総務省統計局「労働力調査(詳細集計)」
湯田 浩平