2. 雇用保険改正の主なポイント

雇用保険の改正ポイントを見ていきましょう。

2.1 1.雇用保険の適用拡大(施行期日:2028年10月1日)

被保険者の要件を週所定労働時間「20時間以上」から「10時間以上」に変更し、適応対象が拡大されました。総務省「労働力調査」によると2023年度では、週間就業時間10〜19時間に該当する方が約506万人確認されているため、大幅な拡大を行うことが確認できます。

2.2 2.自己都合離職者に対する失業保険の給付制限を解除(施行期日:2025年4月1日)

自己都合離職者が失業給付を受給するにあたって、現行法では待期満了の翌日から原則2ヶ月間の給付制限が設けられています。しかし、改正後は離職から1年以内に自ら職業訓練を受講した場合は、給付制限が解除されます。

基本手当の受給手続の流れ(自己都合離職者)

基本手当の受給手続の流れ(自己都合離職者)

出所:厚生労働省「雇用保険法等の一部を改正する法律(令和6年法律第26号)の概要」

職業訓練を受けない場合については、原則2ヶ月間の給付制限が1ヶ月間に短縮されるのもポイントです。なお、5年間で3回以上の自己都合離職に対しては、給付制限が3ヶ月になる点は留意しておきましょう。

2.3 3.教育訓練給付の拡充(施行期日:2024年10月1日)

教育訓練給付とは、専門スキルの習得や資格取得などを目的としている厚生労働大臣指定講座を受講した際に、受講費用が支給される制度のことです。現行法では上限受講費用が70%に設定されていますが、改正後には80%に引き上げられます。

今回は教育訓練給付制度のなかでも「専門実践教育訓練給付金」と「特定一般教育訓練給付金」の給付率が見直されており、それぞれ最大給付率が異なるので注意が必要です。

専門実践教育訓練給付金の最大給付率は、本体給付と追加給付を合わせて80%です。一方で特定一般教育訓練給付金の場合、本体給付と追加給付を合計しても最大給付率は50%になります。現行法と改正後では、それぞれ10%引き上げられている計算です。