2024年7月30日、厚生労働省は第17回社会保障審議会年金部会の資料「令和6(2024)年財政検証結果を踏まえた今後の年金制度改正の議論について」を公表。
次期年金制度改正の方向性として家族構成やライフスタイル、働き方等の多様化に対応すべく、第3号被保険者制度、在職老齢年金制度、遺族年金、加給年金等が主な論点となることが明らかになりました。
これから先、年金制度がどのように変化し、現役世代・年金受給世代にどのような影響を及ぼすのか注目です。
本記事では、現行の公的年金制度の基本的な仕組みと年金支給水準を確認していきます。
将来の年金事情は不透明ですが、現状を理解しておけば「予想」して動くことができます。この機会に年金について学習していきましょう。
1. 日本の公的年金制度は「2階建て」
まずは日本の公的年金制度の構造を確認しておきましょう。
下図のとおり、日本の公的年金制度は「2階建て」の構造になっています。
20歳以上60歳未満の日本に住むすべての人が原則として加入する「国民年金」が1階部分。会社員や公務員などが国民年金に上乗せして加入する「厚生年金」が2階部分となります。
私的年金になりますが、国民年金基金やiDeCo(個人型確定拠出年金)、厚生年金基金、企業型確定拠出年金などで3階建てにすることも可能です。
国民年金・厚生年金のそれぞれの特徴は下記のとおり。
1.1 国民年金(1階部分:基礎年金)
- 原則、日本国内に住む20歳以上60歳未満の全員に加入義務がある
- 保険料は一律(毎年度見直し)
- 納付した期間に応じて将来もらえる年金額が決まる
1.2 厚生年金(2階部分)
- 公務員やサラリーマンなどが加入する
- 収入に応じた保険料を支払う(上限あり)
- 加入期間や納付額に応じて将来もらえる年金額が決まる
現役時代に国民年金のみに加入するのか、厚生年金にも加入するのかによって、老後に受給する年金額が大きく異なることをおさえておきましょう。
次章では、現シニア世代が年金を月額どれくらい受給しているかを、厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」で確認していきます。