2. 「106万円の壁」を超えると手取りはどう変わる?

「106万円の壁」を超えて働き、社会保険に加入すると手取りがどう変わるのかをみていきましょう。

年収が同じ110万円のAさん(社会保険加入)とBさん(扶養のまま)で比較してみます。

※Aさん、Bさんともに、勤務地は東京都で40歳以上とします。

*Aさん(社会保険加入)

  • 健康保険料+介護保険料・・・5095円(年額6万1140円)
  • 厚生年金保険料・・・8052円(年額9万6624円)
  • 所得税・・・0円
  • 住民税・・・5000円
  • 負担合計・・・16万2764円

*Bさん(扶養のまま)

  • 健康保険料+介護保険料・・・0円
  • 厚生年金保険料・・・0円
  • 所得税・・・3150円
  • 住民税・・・1万3700円
  • 負担合計・・・1万6850円

【写真1枚目/全2枚】年間の社会保険料と税金(年収110万円)/次ページでは「年収の壁・支援強化パッケージ」を解説

【写真1枚目/全2枚】年間の社会保険料と税金(年収110万円)/次ページでは「年収の壁・支援強化パッケージ」を解説

出所:日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」全国健康保険協会「令和6年度保険料額表(令和6年3月分から)|東京都 | 協会けんぽ」などから、筆者作成

同じ年収110万円でも、社会保険に加入したことで、加入しなかった場合よりも年間14万5914円負担が増えました。

これに対し、厚生年金の報酬比例部分が上乗せされるので、1年間の加入で年金が5788円増えます。増えた負担に対して、25年でもとが取れる計算になります。65歳から年金をもらい始めた場合、90歳以上長生きしないと、もとが取れないことになります。

ただし、社会保険に加入するメリットは、年金が増えるだけではありません。障害年金・遺族年金の充実、傷病手当金・出産手当金が受け取れるなどのメリットもあります。そのため、払った保険料と増える年金という図式だけで比較するのは間違いです。とはいえ、扶養内でいる場合と比べて、手取りが大きく減ってしまうのは、壁を意識せざるを得ない状況といえます。