厚生労働省が2024年7月5日に公表した資料によると、子どもがいる世帯の平均年収は800万円台となっています。

2013年以降で100万円以上上昇しました。

一方で、およそ65%の子どものいる世帯が「生活が苦しい」と答えている実態もあります。

資料とともに子育て世帯の実態を見ていきましょう。

1. 子どもがいる世帯の平均年収の推移

厚生労働省の調査に基づくと、子どもがいる世帯(調査の中では「児童がいる世帯」)の平均年収は以下のように推移しています。

子どもがいる世帯の平均年収1/7

子どもがいる世帯の平均年収

出所:厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」をもとに筆者加工

 

1.1 児童のいる世帯の1世帯あたり平均所得金額の年次推移(対前年増減率)

  • 2013(平成25)年:696万3000円(3.4%)
  • 2014(平成26)年:712万9000円(2.4%)
  • 2015(平成27)年:707万6000円(▲0.7%)
  • 2016(平成28)年:739万8000円(4.6%)
  • 2017(平成29)年:743万6000円(0.5%)
  • 2018(平成30)年:745万9000円(0.3%)
  • 2019(令和元)年:-
  • 2020(令和2)年:813万50000円
  • 2021(令和3)年:785万円(▲3.5%)
  • 2022(令和4)年:812万6000円(3.5%)

2022年は812万6000円で、2013年以降では(令和元年は調査なし)2020年に次ぐ高水準となっています。

696万3000円だった2013年と比べると100万円以上上昇しています。

上昇の背景は特に調査されていませんが、賃金の上昇や共働きの増加などは子どものいる世帯の平均年収の上昇に作用しうると考えられます。

たとえば、共働き世帯の割合は下図の通りで、着実に増加傾向です。

注1:「専業主婦世帯」は、夫が非農林業雇用者で妻が非就業者(非労働力人口及び完全失業者)の世帯。2018年以降は夫が非農林業雇用者で妻が非就業者(非労働力人口及び失業者)の世帯。
注2:「共働き世帯」は、夫婦ともに非農林業雇用者の世帯。  
注3:2011年は岩手県、宮城県及び福島県を除く全国の結果。
注4:2018年~2021年は2020年国勢調査基準のベンチマーク人口に基づく時系列接続用数値。

平均給与は、足元5年程度は上昇傾向です。

平均給与の推移3/7

平均給与の推移グラフ

出所:国税庁「民間給与実態統計調査結果」をもとに筆者作成

平均年収の上昇は、本来は子どものいる世帯の生活を楽にする作用があると期待されます。

しかし、実態としてはそのようにはなっておりません。次の章で詳しくみていきましょう。

2. 「生活が苦しい」と考える子どもがいる世帯が65%

厚生労働省では、各種世帯の生活意識調査も行っています。

この調査によると、子どもがいる世帯の65%が「生活が苦しい」と感じています。

こちらのデータは2023(令和5)年時点である点に留意が必要です。

2022(令和4)年と2023(令和5)年を比較すると、以下のようなデータとなっています。

各種世帯の生活意識の推移5/7

各種世帯の生活意識の推移

出所:厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」を参考に筆者作成

令和4年から5年にかけて、生活が苦しい(やや苦しい+大変苦しい)と感じている世帯は10%以上増加して「普通~大変ゆとりがある」が減少しています。

先ほど紹介したとおり、賃金は上昇傾向であることを踏まえると、物価高騰に伴い生活コストも上昇していることが、生活を苦しくしていると考えられます。

次の章では、子どものいる世帯の貯蓄事情を深堀りしていきましょう。

3. 子どものいる世帯の平均的な貯蓄とは

統計局が調査した令和5年度「家計調査 / 貯蓄・負債編 二人以上の世帯」によると、平均年収別の貯蓄額は次の通りです。

【年収別】勤労者世帯の貯蓄額6/7

【年収別】勤労者世帯の貯蓄額

出所:総務省統計局「家計調査 / 貯蓄・負債編 二人以上の世帯」を参考に筆者作成

こちらは子どもがいない二人世帯も含まれている点に留意が必要ですが、年収700万円〜800万円の勤労者世帯の平均貯蓄額は1285万円〜1346万円となっています。

続いて、こちらの年収帯の貯蓄の内訳を見てみましょう(勤労者世帯に絞ったデータ)。

貯蓄の内訳7/7

貯蓄の内訳

出所:総務省統計局「家計調査 / 貯蓄・負債編 二人以上の世帯」を参考に筆者作成

預貯金の合計が800万円を超えており、過半数は預貯金で構成されている事がわかります。

また、700~750万円で224万円、750~800万円で318万円、生命保険として保有されています。

有価証券は700~750万円で200万円、750~800万円で197万円と、貯蓄全体に占める割合は決して高くありません。

預貯金が多いと、物価上昇時には買えるモノの量や質で考えた「資産の実質的な量」が目減りして、生活が苦しくなるリスクがある点には留意が必要です。

参考資料

太田 彩子