4. オリンピックの公用語が「フランス語」の理由
オリンピックの公用語について、オリンピック憲章(2021年8月8日から有効の最新版)には下記の記載があります。
規則23 言語
1. IOC の公式言語はフランス語と英語である。
2. IOC 総会では常にフランス語、 英語の同時通訳が提供されるものとする。 その他の言語が IOC総会で提供されることもある。
3.オリンピック憲章およびその他の IOC 文書で、 フランス語版と英語版のテキスト内容に相違がある場合は、 フランス語版が優先する。 ただし、 書面による異なる定めがある場合はその限りではない。
注目すべきは「3」の部分でしょう。
フランス語版と英語版のテキスト内容に相違がある場合は、 フランス語版が優先
つまり、フランス語の優位性を認めているのです。この点から、オリンピックの公用語は「フランス語」という場合もあります。
フランス語がオリンピックの公用語になった理由は、近代オリンピックの父と呼ばれるピエール・ド・クーベルタン、通称「クーベルタン男爵」の功績によるものです。
近代オリンピックは、このクーベルタン男爵の功績なくしてあり得ませんでした。
「近代五輪の父」とよばれる彼に敬意を表し、彼の母語であったフランス語がオリンピック公用語になったのです。
なお、オリンピックの開会式など「フランス語」→「英語」→「開催国の言語」の順で国名が紹介されます。
東京オリンピック・パラリンピックでは「フランス語」→「英語」→「日本語」の順番で、入場した国の名前が読み上げられています。
オリンピックの開会式では、アナウンスがフランス語から始まり、それに英語が続くことにも、ぜひ注目してみてください。
参考資料
- スポーツ庁「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の大会経費」
- 会計検査院 令和4年度決算検査報告「第1 東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた取組状況等について」
- TEAM JAPAN 「第33回オリンピック競技大会(2024/パリ)」
- オリンピック憲章〔2021年8月8日から有効〕
長島 迪子