3. 65歳以上世帯の平均貯蓄額(2人以上の世帯の場合)

ここからは65歳以上世帯の平均貯蓄額を見ていきましょう。

世帯主が65歳以上世帯の貯蓄現在高階級別世帯分布(二人以上世帯)

世帯主が65歳以上世帯の貯蓄現在高階級別世帯分布(二人以上世帯)

出所:総務省統計局「家計調査報告 2023年(令和5年)平均結果の概要(二人以上の世帯)」

  • 中央値:1604万円
  • 平均値:2462万円

中央値と平均値の差額は約860万円です。貯蓄2500万円以上の世帯が全体の34.1%を占めており、一定割合の世帯が平均値を押し上げていることが予想されます。一方で貯蓄300万円未満の世帯が、全体の15.1%の割合で分布していることも注目したいポイントです。

グラフからは高額な貯蓄を有している世帯と、貯蓄の少ない世帯に二極化している実態が確認できます。

4. すぐに貯蓄をしないとまずい3つの理由

貯蓄が少ない世帯の方は、家計収支を見直して少しでも貯蓄を増やしておくのが大切です。なぜなら、次の3つの理由により、家計を圧迫してしまう可能性が考えられるためです。

4.1 理由①物価上昇によって家計が圧迫される可能性がある

昨今の物価高騰により、生活費が増加傾向にある方もいるのではないでしょうか。

全国の世帯が購入する商品やサービスの価格変動を表した消費者物価指数に注目すると、総合指数は​​ 2024年6月時点で​​​​​​前年同月比2.8%上昇しています。また、光熱・水道では​​​​​​前年同月比7.5%の上昇が確認できます。

日本銀行「経済・物価情勢の展望(2024年4月)」によると、2025年度の物価上昇率は2%ほどで推移すると予想されているものの、公的年金が収入の大きな割合を占めている65歳以上の世帯では家計への影響が少なくないでしょう。

物価上昇によって予期せぬ支出が発生したときに備えて、今後も貯蓄の重要性が高まることが予想されます。

4.2 理由②増税のリスクがある

増税リスクも考慮する必要があります。消費税を例に挙げると導入が開始された1989年から2024年までの現時点で、徐々に税率が引き上げられてきました。

消費税と地方消費税の段階移行消費税・地方消費税の税率等

消費税と地方消費税の段階移行消費税・地方消費税の税率等

出所:総務省「地方消費税」

導入当初は3%ですが、5%・8%と徐々に引き上げが行われ、2019年には10%になっています。これまでの経緯を参考にすると、今後も税率が引き上げられることを視野に入れて貯蓄を行うのが望ましいでしょう。