ここ最近の流れを見ていると、60歳代以降も仕事を継続するのが当たり前になりつつあるように思います。

現在における年金の支給開始年齢は一般的に65歳となっているため、60歳をすぎても働きやすい企業に勤めている人の中には安心感を抱いている人も多いと思います。

今後は、より多くの企業が65歳まで就業できるよう整備される流れも予想できそうです。

一方で、再就職先に悩む人や60歳代以降のキャリアに悩む人も多いでしょう。

60歳で実質定年となる人や、60歳以降は新しいことにチャレンジしたいと考えている人も少なくないはずです。

そこで本記事では、シニア世代の就業率や年金事情、60歳代以降におすすめの仕事を紹介します。

1. 【最新版】シニア世代の就業率を確認:65~69歳は52%と半数以上

近年、アラフィフ以上の世代には「シニアになっても働かないといけないのか」「セカンドキャリアはどうしよう」などと考えを巡らせている方も多いのではないでしょうか。

そこで、内閣府「令和6年版高齢社会白書(全体版)」より、65歳代以上の就業率の推移を見ていきましょう。

【写真1枚目/全4枚】年齢階級別「就業者数」および「就業率」の推移。2枚目以降では、1世帯あたりの平均所得金額と構成割合などを掲載。1/4

年齢階級別「就業者数」および「就業率」の推移

出所:内閣府「令和6年版高齢社会白書(全体版)」

1.1 2023年「シニアの就業者数(就業率)」

  • 65~69歳:383万人(52.0%)
  • 70~74歳:303万人(34.0%)
  • 75歳以上:228万人(11.4%)

2023年におけるシニア層の就業率は65〜69歳は52%、70〜74歳は34%、75歳以上は11.4%となっています。

65歳以降の就業率はいずれの年代においてもゆるやかであるものの年々上昇しています。

特に、20年ほど前は65〜69歳の就業率は38.7%と3割台だったものの、2021年には半数を超えている点は注目に値します。

働いているシニア層すべてがフルタイムで働いているわけではないものの、多くの人たちがなんらかのかたちで労働収入を得ていることがうかがえる結果です。

次の章では、シニア世帯の経済事情を統計から紐解いていきましょう。

2. 年金は最低限の生活を保障する制度のはず...年金だけで生活できないの?

続いて、高齢者世帯の経済事情を厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」から見てみましょう。

各種世帯の1世帯あたり「平均所得金額」と構成割合2/4

各種世帯の1世帯あたり「平均所得金額」と構成割合

出所:厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」

2021(令和3)年の項目において「高齢者世帯」の「総所得」は318万3000万円となっています。

「全世帯」が545万7000万円、「児童のいる世帯」が785万円であることを考慮しても、高齢者世帯は収入が少ないことが明らかです。

あわせて、内閣府「令和5年版高齢社会白書」より「65歳以上の人の経済的な暮らし向き」を確認しましょう。

【65歳以上】経済的な暮らし向き(年齢別のグラフ)3/4

【65歳以上】経済的な暮らし向き(年齢別のグラフ)

出所:内閣府「令和6年版高齢社会白書(全体版)」

2.1 【65歳以上】経済的な暮らし向き(全体)の回答結果

  • 家計にゆとりがあり、まったく心配なく暮らしている:12.0%
  • 家計にあまりゆとりはないが、それほど心配なく暮らしている:56.5%
  • 家計にゆとりがなく、多少心配である:23.7%
  • 家計が苦しく、非常に心配である:7.5%
  • 不明・無回答:0.3%

65歳以上の人の多くが「家計にあまりゆとりはないが、それほど心配なく暮らしている」と回答。贅沢やお金がかかる娯楽はむずかしいものの、節約を意識しつつも日々の住まいや食料に困っていない人が多いといったことだと思われます。

また、全体の12%が「家計にゆとりがあり、まったく心配なく暮らしている」と回答していることも見て取れます。

ちなみに、総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2023年(令和5年)平均結果-(二人以上の世帯)」の「世帯主が65歳以上の世帯の貯蓄現在高階級別世帯分布」では、4000万円以上の貯蓄がある世帯が18%を超えていることからもわかるように、経済的にゆとりのある高齢者も少なくないと思われます。

一方、「家計にゆとりがなく、多少心配である」と回答した人は23.7%、「家計が苦しく、非常に心配である」と回答した人は7.5%でした。3割以上のシニア層がお金の心配をしながら暮らしています。

年金生活者の中には冷暖房の使用を控えている人、リーズナブルな価格で購入できる食材をうまく調理している人、衣類の購入を長年控えている人もいると思います。

次の章では、シニア世帯の労働に対する考え方を統計から紐解いていきましょう。

3. 「働けるうちはいつまでも」働きたい…そんなシニア世代におすすめの仕事とは?

近年、多くの人が60歳をすぎても働きたいと考えていますが、実際のところ何歳くらいまで働きたいと考える人が多いのでしょうか。

あなたは何歳頃まで収入を伴う仕事をしたいですか?4/4

あなたは何歳頃まで収入を伴う仕事をしたいですか?

出所:内閣府「令和6年版高齢社会白書」

前述の調査からは「働けるうちはいつまでも」働きたいと考えている人が多いことが分かります。定年退職という枠組みにとらわれず働こうという考え方は、現代人の共通認識の1つなのかもしれません。

3.1 【全体・収入のある仕事に従事】「何歳頃まで収入を伴う仕事をしたいか」の回答結果

〈全体(1755名)〉

  • 65歳くらいまで:25.6%
  • 70歳くらいまで:21.7%
  • 75歳くらいまで:11.9%
  • 80歳くらいまで:4.8%
  • 働けるうちはいつまでも:20.6%
  • 仕事をしたいとは思わない:13.6%
  • 不明・無回答:1.9%

〈収入のある仕事をしている者(654名)〉

  • 65歳くらいまで:11.6%
  • 70歳くらいまで:23.4%
  • 75歳くらいまで:19.3%
  • 80歳くらいまで:7.6%
  • 働けるうちはいつまでも:36.7%
  • 仕事をしたいとは思わない:0.8%
  • 不明・無回答:0.6%

また、定年後のキャリアについて「セカンドキャリア」と表現されることもあります。自分の好きな仕事に定年退職後に就けたというシニア層も少なくありません。

それでは、就労意欲のあるシニア層に門戸を開いている職業には、どのようなものがあるのでしょうか。続いて、シニア層におすすめの仕事を紹介します。

4. シニアにもおすすめの仕事:飲食店などの店舗スタッフ

飲食店などの店舗スタッフであれば半日のみ、早朝のみ、フルタイムなど自分のペースで働きやすい傾向にあります。また、自宅近くのお店であれば通勤の負担も軽減できます。

レジ打ちや品だしを週に何度か3時間前後することで、数万円程度の収入になるでしょう。軽い運動になったり、人とかかわるきっかけにもなったりするとも考えられます。

5. シニアにもおすすめの仕事:清掃業

清掃業は掃除道具を持って動きまわるため、シニアの体力的に厳しいと感じる人も少なくないと思われます。

体力に自信がある方や身体を動かすのが好きな方は、仕事中は身体も脳もフル稼働させるため健康維持にもつながります。

また、職場によって違いはあるものの、清掃業はミドル層以上の人が多いことが少なくありません。若い人が多い職場やノリの良さが求められる職場を好まない人にもおすすめです。

6. シニアにもおすすめの仕事:ファイナンシャルプランナー

ファイナンシャルプランナーの資格があれば対面での相談業務や金融関係の記事の執筆などさまざまな仕事に携われる道が拓けます。

資格取得には多くの勉強が必要ですが、脳の活性化にもつながるでしょう。

シニア層には住宅ローンや自動車ローン、教育費などの支払いを終えた人も多いはず。自分の経験に基づいてアドバイスできるので、相談者に頼られる存在になれるかもしれません。

7. シニアにもおすすめの仕事:家庭教師・塾講師

勉強が得意だった人や教職経験のある人、あるいは企業で教育係をしていた人には、家庭教師や塾講師もおすすめです。

週に1~2回、1~2時間程度のみ働けることも多いので、自分のペースで働きたい人にも向いていると思います。

子どもや学生とかかわることで自分自身にとっても学びになるかもしれません。また、人生経験が豊富なシニア層だからこそ、生徒や保護者に与えられる安心感もあります。

8. シニアにもおすすめの仕事:シルバー人材センター

各地域が運営しているシルバー人材センターで求人を探してみてもよいかもしれません。

シルバー人材センターが扱う求人に応募した場合、若者と採用を競い合ったり、採用時に年齢がネックになったりすることは基本的にありません。

自宅で行っているような家事援助、除草などの軽作業、公的な案内や民間企業のチラシ配布などさまざまな業務があります。その他の職の求人もあるので、お近くのセンターに問い合わせてみてください。

9. まとめにかえて

「シニアになっても働かなければならないのか」と、憂鬱になる人もいるかもしれません。

しかし、歳を重ねても働くことで若い頃よりも労働に対して充足感を抱けたり、自分の好きな仕事に就けたりする可能性もあるでしょう。

さまざまな経験をしてきたシニア世代だからこそ、周囲から頼られることもあります。

また、職場で若い学生や現役世代とかかわることで、社会とのつながりを感じられるだけでなく、若者のトレンドやカルチャーもキャッチできることがあります。

健康維持のためにも働くことを前向きにとらえてみてもよいかもしれません。

参考資料

西田 梨紗