2024年6月21日、政府は5月末使用分をもって終了した電気・ガス代の補助を8月から再開すると発表しました。
8月・9月・10月の3カ月間限定の「酷暑乗り切り緊急支援」です。
この日、年金生活世帯や低所得世帯に向けた追加給付金を検討している旨の発言もありました。物価高による家計への影響は全ての世帯に共通するものですが、収入増の手段が限られる年金生活者にとってはより不安が大きいと考えられます。
そこで今回は、厚生労働省から公表された「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」より、厚生年金と国民年金の受給額を確認していきます。
現代シニアの年金生活の実態を覗いてみましょう。
1. 国民年金・厚生年金とは?公的年金の仕組み
日本の公的年金制度は「国民皆年金」です。
日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人が「国民年金」に加入する義務があります。
「厚生年金」は、主に会社員や公務員などが国民年金に上乗せする形で加入する年金です。
こうした仕組みから、公的年金制度は国民年金と厚生年金による「2階建て構造」といわれています。
国民年金と厚生年金のそれぞれの特徴を確認していきましょう。
1.1 国民年金(1階部分:基礎年金)
- 原則、日本国内に住む20歳以上60歳未満の全員に加入義務がある
- 保険料は一律(年度ごとに改定あり)※2024年度は月額1万6980円
- 保険料の納付期間に応じて将来もらえる年金額が決まる※2024年度の満額は月額6万8000円
なお、国民年金の被保険者は第1号~第3号の3つに分類されます。
- 第1号被保険者:20歳以上の学生や自営業者など
- 第2号被保険者:厚生年金にも加入する会社員や公務員など
- 第3号被保険者:第2号被保険者に扶養される配偶者
第1号被保険者は自身で国民年金保険料を納付します。しかし、第2号・第3号被保険者の国民年金保険料は、第2号被保険者が加入する厚生年金制度によって負担されるため、個別で納付する必要はありません。
1.2 厚生年金(2階部分)
- 公務員やサラリーマンなどが国民年金に上乗せして加入する
- 毎月の給与や賞与などの報酬に応じた保険料を支払う(上限あり)
- 加入期間や保険料の納付額に応じて計算され、国民年金に上乗せして支給される
現役世代の人たちは、ご自身が加入する年金がどちらで、どのような特徴があるかを確認できたでしょうか。
次章では、現代シニアが月額どれくらいの年金を受給しているのかを確認していきます。