2.2 ②契約者=被保険者で、保険金受取人が異なる場合
契約者と被保険者が同じで、保険金受取人が異なる場合は、相続税の課税対象です。
たとえば、契約者と被契約者が夫で、保険金受取人が妻といった契約形態です。
ただし、保険金受取人が相続人(相続を放棄した人や相続権を失った人は対象外)の場合は、非課税枠が適用され、「500万円×法定相続人の数」の金額まで非課税になります。
非課税限度額=500万円×法定相続人の数
たとえば、夫が死亡した際に支払われる死亡保険金を妻が受け取り、子どもが2人いる場合は法定相続人は3人になるため、1500万円(500万円×3人)まで非課税になります。
この場合、死亡保険金が1500万円より少なければ税金はかかりません。
死亡保険金は、遺された家族の大切な生活費や教育費などになるため、こうした非課税制度が設けられています。
2.3 ③契約者、被保険者、保険金受取人がすべて異なる場合
契約者・被保険者・保険金受取人がすべて異なる場合に受け取る保険金は、贈与税の課税対象になります。
たとえば、契約者が夫、被保険者が妻、受取人が子どもといった契約です。
課税対象になるのは、受け取った死亡保険金から基礎控除額110万円を差し引いた金額で、そこに税率をかけて税額を計算します。
贈与税の課税対象額=(受取保険金額-基礎控除額110万円)×税率
ここまで解説してきた3つのケースのうち、最も税負担が大きくなることが多いです。
3. まとめにかえて
生命保険から受け取った保険金や給付金のうち、身体の病気やケガなどが原因で支払われたものは、税金がかかりません。
一方、死亡保険金や満期保険金、個人年金などは原則として課税対象になります。
死亡保険金を受け取った場合は、契約者・被契約者・保険金受取人の組み合わせによりかかる税金が異なります。
遺族が死亡保険金を受け取る際の、税負担を軽くできるような契約形態で加入することが大切です。
生命保険に加入する際には、保障内容や保険期間などはもちろんのこと、保険金を受け取る際に発生する税金についても十分に考慮しましょう。
参考資料
- 所得税法施行令 | e-Gov法令検索
- 国税庁「No.1750 死亡保険金を受け取ったとき」
- 国税庁「No.1755 生命保険契約に係る満期保険金等を受け取ったとき」
- 国税庁「No.1490 一時所得」
- 国税庁「No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金」
- 国税庁「No.4402 贈与税がかかる場合」
木内 菜穂子