3. 高齢者に「住民税非課税世帯」が多い理由

高齢者に「住民税非課税世帯」が多い理由として、主に3つが考えられます。

3.1 高齢者に住民税非課税世帯が多い理由1:収入が低い

高齢者に住民税非課税世帯が多い理由の1つとして「収入の低さ」が挙げられます。

多くの人の場合、老後の大きな収入源は公的年金となりますが、公的年金で受け取れる収入は少ないものとなっています。

参考までに、厚生労働省年金局の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、国民年金の平均月額は「5万6316円」、厚生年金の平均月額は「14万3973円」となっており、現役時代の給与と比較すると格段に少ないことがわかります。

住民税非課税世帯になるには、前年の「合計所得金額」が一定額以下であることが条件です。

多くの高齢者は「年金収入のみ」で生活しており、この所得基準を満たせないケースが多いことから、住民税非課税世帯に該当する割合が高くなっているのでしょう。

3.2 高齢者に住民税非課税世帯が多い理由2:所得が低い

また、同じ収入でも「給与収入の場合」と「年金収入の場合」では所得が異なります。

年金収入の場合は所得が少なくなるため、「住民税非課税世帯となるハードルが低い」ことも、高齢者に住民税非課税世帯が多い理由となっています。

住民税非課税世帯に該当する年収条件は、自治体によって異なりますが、一例として東京都港区の場合の「給与収入」と「年金収入」それぞれの条件は下記のとおりです。

【東京都港区の場合の収入条件(合計所得が45万円以下)】

  • 給与収入:100万円以下
  • 65歳未満で年金収入のみ:105万円以下
  • 65歳以上で年金収入のみ:155万円以下

給与収入の場合、収入が100万円以下であることが住民税非課税世帯の要件となっていますが、65歳以上で年金収入のみの場合は収入155万円以下であることが要件となります。

つまり、年金生活者のほうが給与収入をもらっている人よりも、住民税非課税世帯になるハードルが低くなっているのです。